症状から意識をそらすと効果的
原因不明の喉の違和感を訴えて心療内科を訪れ
る患者さんが少なくありません。病院で詳しく調
べても特に異常がないにもかかわらず、喉のあた
りの違和感が続くのは典型的な「ストレスボール」
の症状です。ストレスボールとは、喉や鼻の奥に
文字どおりボールが詰まっているような違和感を
覚えること。はっきりとしたメカニズムは不明で
すが、不安や緊張などの精神的ストレスが原因と
なり、こうした症状が表れることがあります。ス
トレスボール以外にも、胸やおなか、頭などがシ
クシクと痛む、体の中に何かがあるようなおかし
な感覚がある、などさまざまな部位に症状が表れ
る場合もあります。いずれにおいても病院で検査
をして異常が見られない場合は、ストレスが原因
の「心気症状」と考えてよいでしょう。
このような症状が気になるときに必要なのは、
身体への治療ではなくストレスをやわらげるため
の対処です。人と話したり日記を書いたりする時
間を増やし、必要に応じてカウンセリングを受け
るなどして、悩みや心のモヤモヤを発散しましょ
う。そして最も即効性の高い方法が「意識をそら
す」こと。症状は意識をすればするほど気になっ
てしまうもの。運動や趣味に熱中したり、好きな
ものを食べたりしながら、自分の意識を喉や頭、
おなかなど症状のある部位から強制的にそらして
しまうことが有効な手段です。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 ストレスの話』
著:ゆうき ゆう
「ストレス社会」といわれている現在、
科学や技術の発達で快適になっていく日々の生活とはうらはらに、
ストレスからくる心身の不調に多くの人が悩まされています。
ストレスの原因は仕事や学校、家庭、SNSなど人によってさまざま。
特に最近では、新型コロナウイルスの影響で
これまでの生活様式が大きく変化し、何かと行動も制限されました。
それにより、たまったストレスをうまく発散できずに常にイライラしたり、
不安感がいつまでたってもぬぐえずあまり眠れなくなったり…
また、ストレスは自律神経を乱す原因になるため、
放置すると免疫力も下がり、体の不調を招くことになります。
近年20~30代に多く見られる「過敏性腸症候群」はそのひとつで、
病院に行って検査をしても異常がみつからないのに、
日々便秘や下痢などの腹痛に悩まされる病気です。
早いうちに対処しなければ、
毎日腹痛におびえながら生活しなければならないという
新たなストレスが加わって悪循環に。
本書では、そんな諸悪の根源であるストレスの解消法を医師が解説。
そもそも自律神経が乱れるまでストレスをため込まない男女別の考え方と、
たまってしまったらすぐに自宅で解消できる方法を、
メンタルマネジメントや栄養、運動など実用的な内容で紹介しています。
公開日:2021.08.14