実害は何のプラスにもなり得ない
ストレスを味方につけるには「ストレスは良いもの」と考えることが大切です。しかし、自分の身の回りで起こる困難のすべてが良いストレスになるとは限りません。なぜならストレスと「実害」とは全く別物だから。ストレスは受け入れても、実害からは身を守らなければならないのです。
肉体的、経済的、社会的にダメージを被ることはすべて実害です。ブラック企業を例にとってみましょう。残業や休日出勤続きで休息もまともにとれなければ、病気という肉体的ダメージを受けてしまいます。最低限の暮らしもままならないような低賃金では経済的ダメージに、またそれが原因で家賃の支払いや借金の返済が滞ってしまえば、自分自身の社会的ダメージへとつながります。これらの実害はどんなに前向きに捉えてもプラスへと転換することはできません。実害を回避してダメージを最小限にとどめるしかないのです。
一方で心へのダメージは、「この経験はプラスになる」と考えることで悪いものから良いものへと変えられます。ブラック企業の実害からは一刻も早く逃れる必要がありますが、そこで受けたストレスは、新しい道を切り拓く原動力となります。
ストレスを感じたとき、まずはそこに実害があるかどうかをきちんと見極めてください。そして、実害のないストレスであれば積極的に受けて、心のエネルギーとして役立てましょう。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 ストレスの話』
著:ゆうき ゆう
「ストレス社会」といわれている現在、
科学や技術の発達で快適になっていく日々の生活とはうらはらに、
ストレスからくる心身の不調に多くの人が悩まされています。
ストレスの原因は仕事や学校、家庭、SNSなど人によってさまざま。
特に最近では、新型コロナウイルスの影響で
これまでの生活様式が大きく変化し、何かと行動も制限されました。
それにより、たまったストレスをうまく発散できずに常にイライラしたり、
不安感がいつまでたってもぬぐえずあまり眠れなくなったり…
また、ストレスは自律神経を乱す原因になるため、
放置すると免疫力も下がり、体の不調を招くことになります。
近年20~30代に多く見られる「過敏性腸症候群」はそのひとつで、
病院に行って検査をしても異常がみつからないのに、
日々便秘や下痢などの腹痛に悩まされる病気です。
早いうちに対処しなければ、
毎日腹痛におびえながら生活しなければならないという
新たなストレスが加わって悪循環に。
本書では、そんな諸悪の根源であるストレスの解消法を医師が解説。
そもそも自律神経が乱れるまでストレスをため込まない男女別の考え方と、
たまってしまったらすぐに自宅で解消できる方法を、
メンタルマネジメントや栄養、運動など実用的な内容で紹介しています。
公開日:2021.08.06