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会社の判断がおかしくても反論できないワケ【社会心理学】

Text:亀田達也

集団で決定したことは簡単には覆せない!

集団極化や集団的浅慮など、集団での意思決定には、さまざまな問題が発生する可能性があります。では、集団で決定したことが、あとになって間違っていたと判明した場合、これをすぐに撤回することができるでしょうか?

その答えはNOです。なぜなら、一度決めた決定事項は、たとえその結論が間違っていても覆くつがえせなくなる「心理的拘泥現象」が起こるからです。

心理的拘泥現象とは、これまでにかかった労力を無駄にしたくないという気持ちや、自分たちの判断が間違っていたと認めることへの抵抗から、決定した事柄を覆すことができない心理状態のことです。

たとえば、会議の結果、うまくいけば大きな収益が見込めるプロジェクトに対し、毎月1千万円ずつ合計1億円投資することにしたとします。ところが、プロジェクト開始から半年経過しても思ってたほど収益が出ません。

ここで投資を止めるという選択もありますが、そうするとこれまで投資した6千万円をドブに捨てることになってしまいます。しかも、この投資は社長が一番強く賛成していたため、中止することは社長の顔に泥を塗ることにもなりかねません。そんなわけで投資は続行され、見事に1億円を失うハメになるのです。

これは心理的拘泥現象の典型的な例といえますが、こうした誤った集団決定を行わない方法として「悪魔の擁護者」というものがあります。これは、決められたメンバーのひとりが、あえて反対意見を述べるというもので、そうすることで他の人も遠慮なく意見を言えるようになり、より慎重な決定ができるわけです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。会社、学校、家庭、友人ーー集団や社会の中の個や対人関係の本質、行動原理を社会心理学から読み解く1冊!