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少数派が多数派の考えを変えるにはどうすればいいのか?【社会心理学】

Text:亀田達也

多数派の意見が常に通るとは限らない

集団ができると、そこには必ず多数派と少数派が生まれます。多くの場合、多数派の意見が優先されますが、少数派の声が多数派に影響を与えることもあります。これを少数者影響過程と言います。

モスコヴィッチらによる、ブルー/グリーン・パラダイム実験は、少数派の影響について調べたものです。

実験では、6人のグループに36枚のスライドを見せ、色を判定させます。スライドは、すべて「青」と判断される色でしたが、6人のうち2人はサクラで、わざとすべてを「緑」と回答させたのです。また、この実験では比較のために、全体の2/3にあたる24枚のスライドのみを緑と回答するパターンも調査しています。

サクラが全てを緑と回答した場合は、実験参加者の32%が少なくとも1回は「緑」と回答しました。一方、24枚のみを緑と答えた人のいるグループでは、サクラの影響は認められませんでした。これは、少数派の意見が一貫性を持っていなければ、多数派に影響を与えることはできないということを表しています。

実際の社会の中で少数派の意見を通すには、他にどんな点がポイントになるのでしょうか。まず、問題となる争点以外は、多数派との共通点が多いことが挙げられます。これにより、多数派が少数派を仲間と考え、その上で意見を受け入れるという形になるからです。

さらに、多数派の集団が革新を求めているときは、新しい発想のもとになる少数派の意見を受け入れやすくなるとも言われます。長い目で見れば、多数派と意見の違う少数派がいる集団のほうが、メンバーたちが新しく、正しい判断をくだす割合が高くなるのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。会社、学校、家庭、友人ーー集団や社会の中の個や対人関係の本質、行動原理を社会心理学から読み解く1冊!

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