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他人の存在は自分の作業にどう影響するのか?【社会心理学】

Text:亀田達也

個人の習熟度によって作業効率が変化する

周囲に自分以外の人がいることで、やる気が出て作業効率が高まるというケースがあります。他者の存在によって作業量が変化するという現象に着目したトリプレットは、糸巻き実験を行いました。

この実験は、釣り糸を巻くリールを改造し、糸巻き機を作成、それを使って一定の長さの糸を巻く作業を行う場合、ひとりで巻くのとふたりで巻くのとでは作業スピードがどれだけ変化するのかを比較しました。

結果は、ひとりで巻くよりもふたりで巻いたほうがスピードが速くなることが判明。F.H.オルポートは、こうした現象を「社会的促進」と名付けました。

しかし、必ずしも他者の存在が良い結果を生むとは限りません。例えば、会社でプレゼンを行う際、他者がいることで緊張してしまい、うまくプレゼンができなかったなんてことはありませんか? このように他者の存在によって作業量が低下する現象を「社会的抑制」と呼びます。なぜ、社会的促進と社会的抑制が起きるのでしょうか? ザイアンスらは、それらを分ける鍵は、個人の習熟度にあると考えました。

物事に対して慣れているかどうかで社会的促進と社会的抑制のいずれかが起きるというわけです。先ほどのプレゼンを例に考えると、プレゼンに慣れているAさんは、他者を目の前にしても緊張せずに自分の企画を提案できますが、プレゼンに慣れていないBさんは、他者の存在が気になって緊張してしまい、自分の企画をうまく提案できません。

Bさんのような社会的抑制を避け、促進効果を得るためには、その物事に対して経験を積むか知識を高めることが必要となるわけです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。会社、学校、家庭、友人ーー集団や社会の中の個や対人関係の本質、行動原理を社会心理学から読み解く1冊!