他人からの評価が行動に影響する
わたしたちはさまざまな場面で他者から何らかの評価を受けています。その代表的な例が、肯定と否定です。自分が持つ意見(考え)に対して「そう思う」または「そう思わない」という評価を受けることで、自分の態度に変化が生じます。
肯定された場合は、自分の意見に確信を持ち、以降もその意見を持ち続ける傾向が強くなります。否定された場合は、自分の意見に自信がなくなり、以降は別の意見を持つ傾向が強くなります。こういった態度の変化を「オペラント条件付け」と言うのです。
オペラント条件付けは、肯定や否定だけではなく、褒ほめられるなどの報酬を得た場合や、叱られるなどの罰を与えられた場合にも発生します。
例えば、上司に仕事を褒められると、態度は変わらず、そのことに対してより積極的になります。その人のやる気を引き出してさらなる生産性の向上が見込めます。逆に仕事に失敗して上司から叱られるなどの罰を与えられると、態度を改めるようになります。
すると人は「叱られないためにはどうすればいいのか」を考え、失敗しない方法や新たな考えを模索するようになります。その瞬間だけで考えたら叱ることで仕事の生産性は減少するかもしれませんが、ゆくゆくは、生産性の向上に繋がる可能性もあるのです。
周囲の人々の「やる気を引き出したい」または「間違った軌道を修正したい」という場合は、オペラント条件付けによって起こる態度の変化も考慮しながら「飴(報酬)と鞭(罰)」を与えましょう。それによって、その人の生産性を高められるかもしれません。
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多数派の意見に同調してしまうのはどうして?
日本人はよく多数派に同調しやすい、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、この傾向はどんな人にも当て余る普遍性を持ったものなのです。なぜ私たちは多数派の意見に同調しやすいのでしょうか?この同調について、有名な実験があります。
この実験はカード①に描かれた線と同じ長さのものを、カード②に描かれた3本の線の中から選ぶというもので、実験には8人の学生が参加しました。回答はひとりずつ順番に行いますが、実は参加者のうち7人は〝サクラ〞で、あらかじめどの線を答えるかを指定されていました。
明らかに間違った答えでも多数派に同調してしまう
この実験の目的は、多数が間違った回答をした場合、被験者はそれに同調するかを調べることで、被験者は7人のサクラの回答を聞いたあと、8番目に回答します。実験は線の長さを変えながら複数回行われましたが、問題自体はいずれもひとりで回答したときは正解率99%というごく簡単なものでした
ところが、7人全員が誤った回答をした条件下だと、被験者による誤答率は32%にも上りました。普通なら間違えようのない問題でも、全員が別の回答を選ぶと、それに大きく影響されてしまうことが明らかとなったわけです。なお、7人のサクラのうち、必ず正解を答える他者がひとりいた場合、被験者の誤答率は5・5%まで低下しました。
会社の会議などでも全員一致の意見に反対するのは勇気がいりますが、ひとりでも反対者がいれば意見を表明しやすくなります。同調を促うながすには全員一致であることが重要で、ひとりでも自分と同じ意見の人がいると、その圧力は大きく弱まるというわけです。
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【書誌情報】
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監修:亀田達也
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公開日:2023.06.25