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腕はエンジン体はハンドルが正解です【タケ小山のゴルフ超上達ノート】

Text:タケ小山

ドライバーを遠くに飛ばすにはコツがあります。一番大事なのは芯に当てること。これはパターもドライバーも一緒です。芯に当たったボールが最も効率良くクラブのパワーをスピードに変換してくれるからです。そしてもう1つ大事なのは球質。理想的とされるのは、打ち出し角度が13〜15度でバックスピン量が毎分2200回転ぐらいの弾道です。この弾道を作るには打ち込んではダメですよ。バックスピンが入り過ぎて吹き上がりますからね。理想なのはやはり、最下点を過ぎたところでボールをとらえることです。回転数に関しては、芯に当てれば問題ありません。打ち出し角度はというと、ハンマー投げをイメージするといいでしょう。

ハンマー投げは5度の角度で投げると最も距離が出るそうですが、あのイメージです。5度前後で打ち出されたボールはバックスピンで舞い上がり、結果的に5度で上昇する放物線を描くのです。さて、弾道の話はこのぐらいにして、ボールを飛ばすための動力の話をしましょう。なんていうと「ボディターンですよね」とか言われそうですが、そうじゃありません。多くのアマチュアが「体はエンジンで腕がハンドル」だと思っているでしょうが、逆です。「腕がエンジンで体がハンドル」が正解なんです。 「腕がエンジン?それじゃ手打ちになっちゃうよ!」そんな声が聞こえてきそうですが、アマチュアの多くが腕を使わないがゆえにボールを上手く打てないのが現実です。ですから、もっと腕を使おうよ、ということです。プロは腕を積極的に使っていますよ。腕なくしてゴルフは語れません。 それでもボディターンを信じている人は納得できないでしょうから、少し詳しく説明しましょう。上手くならない人の9割はインパクトで体が開いている、つまり振り遅れなんですよ。

でんでん太鼓のように?冗談じゃありません。だって、でんでん太鼓を同じ方向に回し続けたら音は出ませんよ。回して戻したときにバチが当たって音が出 るわけじゃないですか。ゴルフでも同じです。必ず腕は体を追い抜いていかなければならないんです。ハンマー投げだって、投げてから体がくるくる回るわけじゃないですよね。自分の体がどこかで止まって、それを腕が抜いていくからハンマーが加速するんです。「体を回せ、体を回せ」と言われるからみなさん体を一生懸命回そうとしますけど、腕より先行させて体を回したらヘッドは返らないんですよ。ゴルフスイングで意識して欲しいのは、必ずどこかでクラブと腕は体の回転を追い抜くということです。パッティングにしても一番動かないのはグリップで、ヘッドが一番稼働するわけでしょう。バックスイングで一番遠いところまで上げてしまったクラブヘッドを、体の回転で戻そうとするから上手く当たらないんです。アドレスの位置から270度離れてしまっているのに、体が先行してしまったら戻りっこないですよね。

フィニッシュではクラブと腕が完全に先行しているわけですから、どこかで追い抜かなければならないのは明らかです。つまり腕を積極的に振っていけ、ということですよ。だから「腕はエンジン、体はハンドル」。これは私のアメリカでの先生であるリナ・リッツェンコーチの持論です。ボールを飛ばすのは腕の振りであり、下半身が向いたほうにボールは飛んでいくということです。だから腕が振れていないとボールは飛ばないし、下半身が暴れればボールは曲がるんです。「タケ、ブリング・ユア・アーム! ブリング・ユア・アーム!」って師匠は何度も私に言ったものですが「腕をもっと速く運べ」って意味なんですね。ニック・プライスはジュニア時代にリナ・リッツェンに教わりましたが、腕の振りが速いでしょう?今でも南アフリカの選手はみんなそうだし、腕の振りを重視するそのスイングがデビッド・レッドベターによって体系化されたんですよ。

もちろん例外はありますよ。たとえば藤田寛之プロは思い切り左腰を切るのでインパクトで体が開きますが、本来なら左に飛ぶところを上手くアジャストしてフェードを打っています。グリップは極端なフックグリップ。にもかかわらず、インパクトではクラブフェースを開いて入れてきます。これは彼の身体的なポテンシャルの中で最大のヘッドスピードを出す方法であり、ある意味特殊な打ち方です。よってアマチュアの人はそんなことをする必要はありません。ゴルフスイングにおいて、一番稼働する体のパーツは腕だということを忘れてはいけません。ですから腕を積極的に振っていきましょう。

【書誌情報】
『タケ小山のゴルフ超上達ノート 誰も言わない実戦的スコアアップ術』
著者:タケ小山

ゴルフスイングの習得に熱心になるあまり、スコアが二の次になっているアマチュア・ゴルファーが多い昨今。「残念ですが、こういう“スイング道”信者はスコアは作れない」と著者は言う。では、肝心のスコアメークの方法は? 本書では、ショット、アプローチ、パッティング、マネジメント、スコアアップの5項目でその方法を解説。2019年の新ゴルフルールの活用法など、具体例を上げて、わかりやすく紹介している。タケ小山流スコアの作り方が満載の1冊!

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