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バンカーショットのかくもディープな世界!【タケ小山のゴルフ超上達ノート】

Text:タケ小山

私がたびたび言ってることなんですが、良いスイングを作ってもスコアが良くなるとは限りません。なぜならば、ある程度平らのよい状態でショットを打てることはほとんどないからです。極端な話、18個のティーイングエリアでしかチャンスはないんですよね。スイングを作り上げて、ベストの状態でクラブを振れるのは1ラウンドのうち18回で、それ以外はライも違えば、ボールのポジションも違うので、完璧なパフォーマンスというのはできません。たまたま平らだとしても、練習場で打っているフルスイングの距離と同じ距離が残ることはほぼありませんから、ある意味、コースで打つのはすべて特殊なショットといっても過言ではないのです。

バンカーショットなんて特殊なショットの最たるものでしょう。ですから上手くなるには経験を積むしかないし、砂質や打ち方など、バンカーに関する知識を増やすことも必要です。われわれプロにとってやさしいのはピンが近い場合です。凄く近いのではなくて、適度に近い場合、砂も柔らか過ぎず硬過ぎずといった状況では、出せばまず寄るわけですから「美味しい」バンカーショットなのです。それに比べ、ピンが遠い場合は難しいですね。特にエクスプロージョンで届かない距離は難易度が高くなります。私の場合、試合に出ているときは60ヤードまでならエクスプロージョンで打てました。エクスプロージョンといっても、ごく薄く砂を取るので、見た目にはクリーンヒットしているようですが、フェースに砂の噛んだ後がつくぐらい、ほんのわずかダフらせて飛ばすテクニックがあるのです。

最近のコースには「ウェイストエリア」といって、地べたがそのままになっているような場所がありますけど、これも特殊なショットですね。地面が硬い場合が多く、そういうところから打つとバンスが跳ねやすいので、バンスのないPS (ピッチングサンド)などでエクスプロージョンします。もちろんクリーンヒッ トもしますよ。ボールが沈んでいなければ、ボールの横っ面をカチーンと打ってあげればボールは止まります。こんなのは、そういう状況もありますよ、っていう話なんですが、アマチュアが興味があるというか、憧れるのはスピンが入ったバンカーショットでしょうから、これについて少しお話ししようと思います。もちろんプロはいつでもどこでもスピンをかけようと思っているわけではなくて、スピンの入る砂と入らない砂があるということです。ボールが少し沈んじゃってるような砂は、どうしてもフェースとボールの間に砂が噛むわけですから、摩擦も少なくなりスピンは入らないんです。それに比べ、ちょっと粗めの砂で、ボールが沈んでないような状況では、クラブが砂に刺さらず滑ってくれるので、スピンがよくかかります。

また、雨上がりで砂が土みたいになっているときは、エクスプロージョンで打っても、ソールが跳ねてフェースがボールとくっつくのでドン、キュキュッと止まります。つまりボールとフェースの間に砂が入るか入らないか、によってスピンが入るかどうかは決まるのであり、スピンを入れたいなら、それができる状況なのかどうかを見極めることが大事です。面白いのは、日本のプロとアメリカのプロではバンカーの基本的な打ち方が違うんですよ。アメリカの選手は砂を多く取って足を使うバンカーショットを打ってきますけど、日本人選手は砂を極力取らず、球だけを拾ってスピンで止めるタイプが多いんです。これはアメリカの砂が柔らかくてボールが沈んでいることが多いからですね。それに比べ日本のバンカーは砂が締まっている場合が多いので、スピンをかけやすいのです。

自分がアメリカに行ったときもそうでしたが、カツーン、キュッキュッ!っていうバンカーショットを打つと驚いて「どうやって打ってるの?」と聞いてくるんですよ。彼らはバンスの分厚いサンドウェッジを使っているからそういうショットは打てないけれども、私はバンスの薄いサンドウェッジで、しかもなるべくバンスを使わずに打っているからそういうショットになるんですね。砂をあま り噛まさない打ち方を日本で覚えて、それをそのままやっていただけのことです。さらに言うなら、もう1つスピンをかけるテクニックがあって、それはスピンがかかっている間にグリーンに着地させる打ち方です。どういうことかというと、バンカーショットは通常、グリーンに向かって打ち上げていくじゃないですか。そのとき、バーンと打ち上げて、ボールが放物線を描いて落ちてきてグリーンに着地するのが普通ですが、放物線の頂点で着地させる技があるんですよ。たとえばボールが毎分7000回転で飛んでいくとして、頂点での7000回転で着地する場合と、落下が始まってからの7000回転で着地するのでは、止まり方が大きく違うんです。

落下してからだとボールの重力が前に進もうとする力が多少なりとも働いていますが、頂点は無重力状態のようなもので、そこで着地するとぴったり止まるのです。日本人選手は割とこういう狙い方をします。青木功プロなんて抜群に上手かったですよね。私も得意なほうだったので、アメリカの選手に驚かれたというわけです。スピンをかけようがかけまいが、要はピンに寄ればいいわけですけど、スピンがかかったりかからなかったりという理屈は理解しておいたほうが、バンカーショットの向上にはつながるでしょうね。ソールが丸くて厚いサンドウェッジでドン!と打つと、フェースとボールの間に砂が噛むので摩擦がかかりません。ですから高さで止めたいときは上に打ち出しますし、距離が欲しいときは前に打ち出していけばいいわけです。一方、ソールが平らでバンスがないサンドウェッジを硬い砂の上で滑らせると、コンクリートの上のボールを打ったときのように、ソールが跳ね返ってフェースとボールがくっつくんですよ。くっつくということはMAXの状態でスピンが入っているということなので、落ちた瞬間にキュッと止まるわけです。

【書誌情報】
『タケ小山のゴルフ超上達ノート 誰も言わない実戦的スコアアップ術』
著者:タケ小山

ゴルフスイングの習得に熱心になるあまり、スコアが二の次になっているアマチュア・ゴルファーが多い昨今。「残念ですが、こういう“スイング道”信者はスコアは作れない」と著者は言う。では、肝心のスコアメークの方法は? 本書では、ショット、アプローチ、パッティング、マネジメント、スコアアップの5項目でその方法を解説。2019年の新ゴルフルールの活用法など、具体例を上げて、わかりやすく紹介している。タケ小山流スコアの作り方が満載の1冊!