アプローチがなぜ難しいか、その最大の理由を知っていますか?答えは「加減をするから」。フルショットの距離ならただスイングするだけでいいけれど、そうではない短い距離はそのクラブの最大の飛距離を打つわけではありません。要は加減して打たなければならないことに難しさがあるのです。スイングがどこかで緩んでしまうので、ダフリやトップが出やすいんですね。 「加減して打つ」というと、バックスイングの量を減らすということになると思いますが、そのとき力も加減してしまうとたちまちミスになります。大きなバックスイングから力を加減して打つのが身に付いてしまっている人は、どうしてもミスが出るんですよ。
いったんバックスイングが上がったら、力を抜かずに打ってしまうべきなんです。そのためにはそのように打てる小さなバックスイングを作らなくてはならないし、それが作れたら加減しないで打って飛ぶ距離を把握しておくんです。ピッチングウェッジだと何ヤード、50度のウェッジなら何ヤード、56度なら何ヤード、と緩みのないハーフスイングでどれだけボールが飛ぶかというデータベースを持っておく。つまり距離の打ち分けをクラブにさせるんですね。おそらく最初のうちは緩まずに短い距離を飛ばすことはできないと思いますが、最小の距離を作っていくことがアプローチの技術の向上であることを知ってください。コンパクトなバックスイングから緩まずに打って30ヤード飛んでいたものが、25ヤード、20ヤードと減っていって、究極的には1ヤードキャリーを緩まずに打てるように練習すべきだし、そうなった頃にはアプローチが武器になっているでしょう。もちろんそれはかなり高いレベルの話なので、まずは緩まないでスイングできる最小の幅を見つけてください。
それができたらいろんなクラブで打ってみる。9番アイアンからロブウェッジまで、最小の振り幅で打って、きっちり当たっていながらも距離が変わることを実感してください。そこからあなたのアプローチは始まります。1つのクラブでいろんな距離を打つよりも、1つのスイングでいろんな距離を 打ったほうが繊細なゲームができるというのがタケ小山の実感です。余談ですが、2019年からの新ルールで「レディゴー」。つまり用意できたプレーヤーから打っていいことになったけれども、グリーン上をボールが転がるグリーン周りからのアプローチではやめたほうがいいですね。グリーンの硬さだったり、スピードだったり、傾斜というものを見極める必要があるわけだから、用意ができたから打つということはよっぽどグリーンが平らで、硬さやスピードがわかっている場合以外はやらないほうがいいでしょう。やはり「遠方先打」というクラシカルなゴルフのルールは理にかなっていて、後から打つほうが圧倒的に有利なんですよ。
そのためにピンの近くに打った人は最後に打てるということですから、そのメリットをみすみす手放すことは疑問です。ゴルフというゲームの本質がここにあるのだし、用意ができたら打っていい、ということでやってしまうと1人だけ先にホールアウトすることもあり得るので、そんなのはゴルフではなくなってしま います。もちろんプレーファーストは大前提ですが、競技となればできるだけ先に打ったプレーヤーのボールから情報を取ることが大事で、ショットなら風向き、アプローチなら傾斜や芝目、グリーンの硬さを教えてくれるわけだから、よ~く見てなければダメなんです。ピンを刺したままのパッティングで入るようになったという話をしましたが「レディゴー」のように自分を不利にしてしまう新ルールもあるわけですから、そこは絶対に譲らないほうがいいですね。
【書誌情報】
『タケ小山のゴルフ超上達ノート 誰も言わない実戦的スコアアップ術』
著者:タケ小山
ゴルフスイングの習得に熱心になるあまり、スコアが二の次になっているアマチュア・ゴルファーが多い昨今。「残念ですが、こういう“スイング道”信者はスコアは作れない」と著者は言う。では、肝心のスコアメークの方法は? 本書では、ショット、アプローチ、パッティング、マネジメント、スコアアップの5項目でその方法を解説。2019年の新ゴルフルールの活用法など、具体例を上げて、わかりやすく紹介している。タケ小山流スコアの作り方が満載の1冊!
公開日:2020.05.10