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グリーン周りからのアプローチで考えることは…!?【タケ小山のゴルフ超上達ノート】

Text:タケ小山

ここではグリーン周りからのアプローチの話をしようと思いますが、やはりパターで転がせればそれが一番確率が高いし、ミスも少ないわけですよ。しかしパターを使えない状況というのも多いわけで、グリーンから離れていたり、バンカーがあったり、途中の芝が逆目だったりする場合は、そこを飛び越えるクラブで打たざるを得ないわけです。スコアにならない人のアプローチを見ていると、一本調子というか、いつも同じ球筋で打っているようです。ウェッジで突っつくようなアプローチとでもいいますか、それしか打てないから仕方ないといえば仕方ないんですが、自分のアプローチを押し付けているという感じなんですよね。

しかしアプローチというのは、相手があるショットだということを忘れてはい けません。たとえば私みたいな既婚の中年男性が婚活中の若い女性にアプローチしたって無駄じゃないですか。そういうことですよ。つまり「相手をよく見る」ということが大事なのです。その状況に応じたショットを打つから寄るのです。では何を見るかということですが、まずピンがどこに立っているか、でしょうね。近いのか遠いのか、傾斜はどうなのか、2段グリーンになっていないか、グリーンの硬さはどうか、といったグリーンの状況を見ます。それからボールとグリーンの間はどうなっているのか、砲台グリーンになっているのかそうではないのか、芝が順目なのか逆目なのか、バンカーがあるのかないのか、といったことも見なければなりません。そしてボールのライです。順目なのか逆目なのか、硬いのか柔らかいのか、ボールのある状況によっては、打てるショットと打てないショットが出てきますからここも大事。そして風です。フォローなのか、アゲンストなのか、それとも風はないのか、この条件も球筋に大きく影響を与えますから忘れてはいけません。

こうした情報をすべてふまえた上で、どのように寄せるのかを決めるのがアプローチなのです。状況の組み合わせがそれこそ無限にありますから、一本調子のアプローチでは 寄らないのは当たり前です。ですからピッチショット、ピッチエンドラン、ランニングの3つは打てるようになっていて欲しいですね。これは1本のクラブで打 ち分けてもいいですし、ピッチショットはサンドウェッジ、ピッチエンドランは ピッチングウェッジ、ランニングは9番アイアンというように、クラブを変えて打ち分けるのもOKです。他にもアプローチのバリエーションはありますが、最低限3つの球筋だけは覚えておきましょう。

3つのアプローチを覚えたら、これをどう使い分けるかが寄せワンできるかどうかの決め手となります。たとえば打ち上げのアプローチでマウンドの頂点にピンが切ってあるような場合、ピッチショットならピンの近くに落とせばいいわけですが、そこまで突っ込めずショートする場合が多いのではないでしょうか。またライが悪くてピッチショットは怖いような場合には、ピッチエンドランという選択になりますが、このときも番手ごとのキャリーとランの比率、それから球の強さなどを知っていないとピンにボールを運べません。ピッチングウェッジを握ったのはいいのですが、普通の感覚で打ってしまうと、ふだんはキャリーとランが1対1ですが、斜面でボールが止まってしまいピンまで上がっていかない、ということが起こります。ですからこの場合は9番アイアンで半分の地点に落としたり、傾斜がきつければ、7番アイアンを使って半分の地点に落とすというようなオプションが必要になってきます。このようにグリーンが受けている場合は、ショートしないようなクラブと球筋のチョイスが必要ですが、グリーンが硬かったり、順目だったり、下り傾斜になっているような状況では、オーバーしないようなマネジメントが要求されます。

そんなとき、強い球しか打てないゴルファーは困るんですよね。ピンまでボールを駆け上がらせることはできても、ランを抑えることができないので、絶対に寄らない状況というのが出てきてしまいます。スピンをかければいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、スピンがかかっていても、スピードが速いとボールを止めることはできません。ましてやグリーンが硬かったり、フォローだったりすると、お手上げになります。いつでも「ガツン!」と強く当てるようなアプローチを打っている人によく聞 いて欲しいのですが、アプローチは弾道だけでなく、球のスピードも重要な要素です。スピードが速くなれば球は止まりづらくなるし、スピードが遅くなると球は止まりやすいということですね。ショートサイドを狙ってグリーンを外して、ピンまで距離はないけど物凄く速いというような状況ってあるじゃないですか。こんなときスピードを出してしまうと、いくらスピンをかけてもノーチャンスです。ワンクッションが使えないとすれば、球を上げて球の高さで止めるか、スピードを殺しながらスピンをかけて止めるか、というオプションになるんですよ。

アプローチはかくも深い世界で、グリーン周りにきたら、われわれプロゴルファーはそれこそ頭をフル回転させて、最も寄りやすい方法を見つけようとしているのです。だから寄るのであり、何も考えずキャディさんに「サンドウェッジください」って言って、1本で何とかしようとしているような人は寄らないんですよ。ですから、ピッチショット、ピッチエンドラン、そしてランニング。最低3つのアプローチショットは打てるようになっておきましょう。その上で、可能だったらパターで転がすことを選択する。それが無理だったら、パターでは打てない要因となっているものを飛び越えてしまうクラブなり球筋なりを選ぶ。そしてそのときにはもちろん、自分のボールのライ、ピンの位置、グリーンの状況なども考慮に入れる。これがグリーン周りからのアプローチの基本なのです。

【書誌情報】
『タケ小山のゴルフ超上達ノート 誰も言わない実戦的スコアアップ術』
著者:タケ小山

ゴルフスイングの習得に熱心になるあまり、スコアが二の次になっているアマチュア・ゴルファーが多い昨今。「残念ですが、こういう“スイング道”信者はスコアは作れない」と著者は言う。では、肝心のスコアメークの方法は? 本書では、ショット、アプローチ、パッティング、マネジメント、スコアアップの5項目でその方法を解説。2019年の新ゴルフルールの活用法など、具体例を上げて、わかりやすく紹介している。タケ小山流スコアの作り方が満載の1冊!