アゴの下に1本のロープ!
これは試合会場でも、私が選手たちにやらせることの多い練習です。まず腰の高さに、飛球線と平行にロープを張ります。腕の長さやアドレス時の前傾角度にもよりますが、ロープはアゴの下、グリップはアゴの下か肩の下で、少なくともアゴの前には出ないようにアドレスします。つまりクラブは、ロープの手前側にセットすることになります。
その状態でクラブがロープに当たらないようにスウィングしましょう。ダウンスウィングで手元がロープの外側、つまりクラブが下りる時にロープに当たったら、アウトサイドインの軌道ということです。そうなるとインパクトからフォローにかけて左ひじを折る、左脇が開く、左腰が開くなどして、ボールにあわせないと打てません。インサイドに引くしかありませんから、カット軌道でスライスボールになります。
一方、クラブがインサイドに下りたものの、手元が浮いてロープにぶつかるのは極端なインサイドアウト軌道ということです。右にすっぽ抜けてしまうためにフェースを返さなければなりません。これは“しぼり”ではない“こねる”という動きです。
いずれにせよ、ロープに当たらないように振るのは、かなり窮屈なスウィングだと感じることでしょう。しかし、その窮屈こそが、臍下丹田に氣の鎮められた、氣の充実したスウィングなのです。
【書誌情報】
『ゴルフのトップコーチが教えるスウィングの真髄』
著者:辻村明志
上田桃子、小祝さくらプロをはじめ、女子のトッププロたちをコーチしている本書の著者・辻村明志氏。王貞治選手の一本足打法を作り上げた故・荒川博氏に師事し、ゴルフ指導に取り入れたことは有名だ。本書は、荒川氏から受け継ぎ、コーチングに活用している「氣のスウィング理論」を解説するもの。「氣は心を動かし、心が氣を動かす」という、同氏の考えに基づき、氣の力をゴルフスウィングに活かすことを目的に、その方法をイラストと写真を使いわかりやすく紹介する。
公開日:2020.09.03