「感覚」に頼るレッスンは効率が悪い
日本におけるゴルフレッスンの多くが、いまだに理論よりも経験則に主眼を置いた感覚論が多いことも、アマチュアが「飛ばしのレッスン」を体得できない原因の1つと言えると思います。「こういう感じ」「こんなイメージ」というフィーリングが指導のメインにあり、なぜ飛ばせるのかという「仕組み」を説明する理論が不十分なケースが多いのです。そのため、その感覚を共有できる人や偶然うまくハマった人には効果があっても、そうでない人にはチンプンカンプンになりがちです。
たとえば「思い切って腕を返せ」と言われても、「思い切って」の程度も「腕」が具体的にどこなのかもわらない。言われたとおり「腕」を返すものの、そのときフェースや体がどうなっていればいいかの解説がない。うまくできないと体をおさえられて「こ のくらい」と言われるが、「どこ」が「どのくらい」なのかの具体的な説明もない。とりあえずがむしゃらにやっていると「もっと、もっと、よしそれでOK!」と言われるが、「それ」がどの状態なのかもハッキリしない。
これでは何がよくて何が悪いのか理解できず、コーチのいないところで再現することもできません。結局は球数を打って、そのなかでいい球が出た状態を漠然と体で覚えるしかなく、その理解の仕方もあくまで自分の「感覚」の枠を出ません。当然、調子が悪くなってそのときの「感覚」が抜けてしまったら、また同じような作業で「感覚」を見つけ直すしかないのです。
日本のアマチュアゴルファーにはいまだに「球数を打たなきゃうまくならない」と考えている人が多いのも、この「感覚」が主体となった指導がゴルフ界にはびこっているのが原因でしょう。もちろん、上達に一定の練習量は必要ですが、それは「仕組み」 として理解した正しい動きを身につけるためのトレーニングとしてであって、「感覚」を見つけたりそれを刷り込むための特訓的なものとは意味合いが違います。
【書誌情報】
『フォース理論で飛ばす! 世界基準の飛距離アップ術』
著者:吉田洋一郎
飛距離アップの方法として、腕力に任せてクラブを思い切り振ること、そのために筋力トレーニングが必要と考えるゴルファーが多い。ただ、これは勘違い。飛ばすためには力んで振ってもダメですし、トレーニングによって直接的にスイングがよくなるわけではないのです。だからこそ、筋力に頼らないスイングを目指すほうが効率的といえます。では、飛距離アップには何が必要か。それが本書のテーマである「フォース」なのです。「フォース(FORCE)」とは英語で、「力」という意味。スイングに関わるすべての力で、筋力だけでなく、重力、反力、遠心力など自分の外にあるエネルギー(外力)も含んでいます。この本では、「フォース」を効率的に使ってスイングスピードを上げ飛距離を伸ばす方法を紹介。外力の中でも「地面反力」「遠心力」「反動」「ミッドハンドフォース」の4つに焦点を当て写真、図版を多用して解説しています。また、アマチュアゴルファー4人に著者が実践レッスン。「フォース理論」に基づく指導を1カ月行い、その成果も収録しています。
公開日:2020.07.06