心が痛みを引き起こす『心因性腰痛』
●悩みごとがなくなると腰痛が消える?
腰痛に悩む人が病院に行った際によくあるのが、1ヶ月以上腰痛が続いて大きな病気ではないかと心配になって検査をしてみたところ、特に『異常なし』。少し安心していたら、なぜかはわからないけどあまり痛みを感じなくなった、というような例。
そのほかにも「上司が代わってストレスがなくなり腰痛が引いた」「家族のトラブルがなくなり痛みがなくなった」というように腰痛と直接因果関係がなさそうなことが解決するだけで、それをきっかけになぜか腰痛がなくなるという事例が実は多くあります。
心配事やストレスが溜まることが多いと自律神経の交感神経が優位な状態になり、いわゆる動物の臨戦態勢のような緊張状態になります。夜になれば副交感神経が優位になるところ、ずっとその状態でいるために筋肉がこわばり、腰回りの毛細血管が収縮したままに。そんな長時間の血行不良は、あるタイミングで腰に痛みを生み出します。その結果、検査ではわからない『原因不明の腰痛』として現れると考えられます。そして、こういったストレスや自律神経の乱れによって生まれる腰痛を『心因性腰痛』と呼びます。
心因性腰痛はメンタルと密接に関係があるため、対処療法的なマッサージや湿布などの治療行為ではなかなか改善せず、悩む人も多い腰痛です。
心因性腰痛になるきっかけは色々存在する
なくて七癖という言葉があるように、ストレスを感じていなくても突然にやってくる体の不調。もしかしたら向き合っていないだけで、あなたの脳はモヤモヤすることに悩んでいるのかもしれません。
ストレスが交感神経に作用し痛みを生む
心のモヤモヤやストレスは、自律神経に影響を与えます。肩こりや胃痛、肌荒れなどを引き起こすことも。自律神経が乱れやすくなるとさまざまな症状が頻発します。
【出典】『原因不明の腰痛は自律神経が9割』
著:小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業、同大学院医学研究科を修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、現職。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートや文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に携わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎)など、著書も多数。
病院で検査してもわからない……。原因不明の腰痛を“自律神経”から改善する一冊。国内でおよそ3000万人が悩んでいるとも言われている『腰痛』。
腰痛の原因はぎっくり腰やヘルニアなど様々ですが、実はその80%以上が原因不明と言われています。コロナ禍でカラダを動かすことが少なくなったため、「座りっぱなしだったから」「運動不足だから」と腰痛の原因を運動不足や筋肉疲労によるものだと思い込み、原因を突き止めようと病院を受診しても、結果は『異常なし』。よくわからないまま筋弛緩剤や炎症を抑える薬だけ飲むも、なかなかよくならない、という人が多くいます。また、腰痛は気になるがゆえにインターネットで検索すると、ガンや膵炎などの症状と一致することもあり、長く続くと不安に煽られて毎日楽しく生活することができなくなってしまうことも。そんな長引く謎の腰痛ですが、それはストレスと自律神経の乱れから来る現代病『心因性腰痛』かもしれません。本書では、そんな原因不明の腰痛を持つ人に向けて、自律神経の名医が腰痛の原因になっている自律神経を整えて痛みを取る『心因性腰痛』の改善法を紹介します。リラックスするための入浴法から腸がよみがえる食事法、心を軽くするために必要な考え方、生活習慣など、誰でもすぐに実践できる心因性腰痛の改善法を掲載します。しつこい痛みで、マッサージ・整体・針など、どんなに骨や筋肉への治療を試しても良くならない腰痛をお持ちの方にはぜひ読んで頂きたい一冊です。
公開日:2022.03.04