心の不調は腸に現れる
●ストレスが原因で腰痛になる?
自律神経を考える上で、切っても切れない関係にあるのが『腸』です。 緊張状態が続いた時や、朝の通勤電車内で途中下車ができないようなプレッシャーがかかる状況になった時、腹痛が襲ってきた……という経験はありませんか? このように、特に命に関わる病気ではないけれども便通異常や、それにともなう腹痛が続くことを、『過敏性腸症候群』といいます。なぜこのような症状が起こるのかというと、緊張やストレス状態で自律神経が乱れると、腸にけいれんが起きて排便のリズムが崩れるからです。一度この症状が現れると、また同じ状況が訪れた場合、「また腹痛になるかも」という不安がその症状を引き起こしてしまうことも。
さらに、腸は血液を作り出したり、腸内細菌が人間の免疫力を生み出すため、腸が不調だと血液がドロドロになり、血流が悪化したり、風邪をひきやすくなったりします。そうなることで、体に不調が生じ精神的にも不安定な状態になってしまうのです。さらに、幸せを感じさせる物質、セロトニンの約95%は腸壁で作られています。腸が元気になってセロトニンが分泌されれば、幸福感ややる気を感じる機会が増え、ストレス軽減に繋がります。心と腸の繋がりがわかれば、次項からさっそく腸を労る行動を実行に移していきましょう。
なぜ心の不調はお腹に現れるの?
腸は栄養の消化吸収、不要なものの排出、免疫細胞や、血液、ホルモンの生成などに大忙し。その分、強いストレスや緊張、食生活の乱れなどの悪影響を受けやすい場所でもあります。
過敏性腸症候群は現代人に多い
過敏性腸症候群は、ストレスや過労、体力低下、精神状態の悪化などから自律神経失調症と並んで発生する病気です。便通が不正常になるだけだと思われがちですが、この症状が出ているときには合わせて体調不良や精神状況の悪化などが発生しやすくなります。
【出典】『原因不明の腰痛は自律神経が9割』
著:小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業、同大学院医学研究科を修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、現職。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートや文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に携わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎)など、著書も多数。
病院で検査してもわからない……。原因不明の腰痛を“自律神経”から改善する一冊。国内でおよそ3000万人が悩んでいるとも言われている『腰痛』。
腰痛の原因はぎっくり腰やヘルニアなど様々ですが、実はその80%以上が原因不明と言われています。コロナ禍でカラダを動かすことが少なくなったため、「座りっぱなしだったから」「運動不足だから」と腰痛の原因を運動不足や筋肉疲労によるものだと思い込み、原因を突き止めようと病院を受診しても、結果は『異常なし』。よくわからないまま筋弛緩剤や炎症を抑える薬だけ飲むも、なかなかよくならない、という人が多くいます。また、腰痛は気になるがゆえにインターネットで検索すると、ガンや膵炎などの症状と一致することもあり、長く続くと不安に煽られて毎日楽しく生活することができなくなってしまうことも。そんな長引く謎の腰痛ですが、それはストレスと自律神経の乱れから来る現代病『心因性腰痛』かもしれません。本書では、そんな原因不明の腰痛を持つ人に向けて、自律神経の名医が腰痛の原因になっている自律神経を整えて痛みを取る『心因性腰痛』の改善法を紹介します。リラックスするための入浴法から腸がよみがえる食事法、心を軽くするために必要な考え方、生活習慣など、誰でもすぐに実践できる心因性腰痛の改善法を掲載します。しつこい痛みで、マッサージ・整体・針など、どんなに骨や筋肉への治療を試しても良くならない腰痛をお持ちの方にはぜひ読んで頂きたい一冊です。
公開日:2022.04.07