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腰痛がひどい場合「レントゲン」と「MRI」どちらを撮るべきなのか?【腰痛の話】

Text:吉原潔

神経の関わる症状はMRI検査へ

腰痛で整形外科を受診すると、多くの場合は腰椎のレントゲン(X線)撮影をします。これは、主に腰椎や骨盤の向き、形、動きといった骨の状態をチェックするためです。

「骨が折れていないか」「位置がずれていないか」などの異常を点検する意味合いもありますが、どちらかといえば骨が正常であるのを確認する目的のほうが大きくなります。腰椎の形や向きにトラブルが生じる「変形性腰椎症」や「腰椎すべり症」「腰椎椎体骨折(圧迫骨折)」などは、レントゲンによって病態を確かめることができます。

レントゲンの画像診断をしている際、患者さんから「椎間板の異常ですか?」と聞かれることがありますが、そもそもレントゲンには椎間板や神経は写りません。しびれや痛みがあり、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど、神経の関与する疾患が疑われる場合は、MRI検査をする必要があります。

MRI(磁気共鳴画像)検査は、強い磁場の中で体に電磁波を与え、それに共鳴し振動した体内の水素原子が放つ電磁波を受信して画像にしたものです。人体を縦、横、斜めなど、様々な角度から断面画像で表示できる上、骨の内部状態や椎間板の変性、神経の障害具合といった微細な病変も写し出します。レントゲンやCTとは異なり、X線を使わずに検査を行うため、放射線被ばくの心配がないのもMRI検査のメリットといえるでしょう。

レントゲンとMRIでわかる腰痛の種類

レントゲンとMRIでわかる腰痛の種類『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』

レントゲンが主に骨の異常をとらえることに対し、MRIは骨にとどまらず、神経障害や組織内部の病変など、幅広く疾病を発見します。

レントゲンでわかる腰痛

骨の形や向きの異常からわかる病態

変形性腰椎症/骨に棘ができる、椎間板の幅が狭くなる。
腰椎すべり症/骨が前後か左右にずれている。
腰椎椎体骨折 (圧迫骨折)/骨がつぶれている。
側弯症(そくわんしょう)/骨の配列が曲がっている。

進行した状態でわかる病態

腰椎分離症/レントゲンでわかるのは末期の状態。
骨腫瘍(こつしゅよう)/骨が溶けている、石灰がたまっている。

動態撮影(腰を曲げる、反らす)で異常がわかる病態

腰椎不安定症/腰を動かすと骨がぐらつき、腰椎が不安定になっている。

MRI検査でわかる腰痛

腰椎椎間板ヘルニア/ヘルニアの有無や神経の圧迫具合など。
腰部脊柱管狭窄症/狭窄の部位やその程度。
腰椎椎体骨折 (圧迫骨折)/骨のつぶれ具合や、骨折の新旧の見分け。
腰椎分離症/椎弓 (腰椎の一部) の分離の有無。分離しかけの初期段階で見つけられるのはMRIのみ。
腰椎すべり症/骨のずれの程度、神経の圧迫具合。
骨腫瘍/大きさや位置、 神経の圧迫の程度。
軟部腫瘍/腫瘍の大きさや位置、皮下脂肪と脂肪腫の見分け。
腰部筋挫傷/筋断裂の具合、出血の状態。

出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔

【書誌情報】
『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』
著:吉原潔

今や4人に1人が悩んでいるとも言われる国民病である『腰痛』。ぶつけた、痛めた、ぎっくり腰といった原因がハッキリしている腰痛だけでなく、『脊柱管狭窄症』『椎間板ヘルニア』『ぎっくり腰』などによる痛みや、病院で検査しても特に異常が無いと言われるものまで、痛みの原因は多種多様にあります。しかし、そんな痛みに対して痛み止めや筋弛緩剤などの薬で対処療法だけをしていても根本の治癒にはなかなか繋がらないため、しっかりと『腰痛の原因』と向き合うことが大切です。本書ではそんな腰痛を治して、長い人生を痛み無く健康に過ごすために、『脊柱脊髄外科専門医』と『フィットネストレーナー』という2つの肩書を持つ腰痛の名医による、腰痛が治らない意外な原因と、骨と筋肉にアプローチする自宅でできる腰痛のセルフケア法を紹介します。

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