腹筋を鍛えなければ正しい姿勢をキープできない!
正しい姿勢の維持に、体幹力が必要なのは前述の通りです。そのためには、運動によって腹筋や背筋を刺激し、筋肉の活性をはかることが欠かせません。ところが、腰や背中を強化するという意識が強いと、どうしても背筋だけを鍛えがちになりますが、腹筋のケアを怠って機能が低下すれば、猫背などの悪い姿勢が助長されてしまいます。
通常、私たちは「腹筋3:背筋7」の筋力配分で姿勢を保っているといわれています。割合は小さくても、腹筋が本来の働きをしなければ正しく体を支えることができません。例えば、腹筋に対して背筋の弱い人は骨盤が後ろに傾き、逆に腹筋に比べて背筋が強い人は骨盤が前に傾く傾向があります。前後のパワーバランスを保つためにも、偏りなく両者を鍛えることが重要です。
ただし、体幹力を上げる目的では、仰向けに寝た状態から上半身を垂直に起こし、再び仰向けに寝る動作を繰り返す「シットアップ」はおすすめできません。上体を起こす際に、腰椎が過度に動いて腰に大きな負担がかかるため、腰痛がある人には不向きだからです。現状、医療現場のリハビリメニューでは、ほとんど用いられていません。
本書で紹介するエクササイズは、腰に負荷なく腹筋を強化できるほか、腹部の深層筋(インナーマッスル)を鍛える「ドローイン」という体幹トレーニングなどもあります。
定期的に体幹力をチェックしよう!
20秒キープできない場合や、体が傾いたりぐらついたりする場合は、本書で紹介するエクササイズを行って体幹力を鍛えましょう。このチェック自体が体幹力を鍛えるトレーニングにもなるので、毎日行うことをおすすめします。20秒以上キープできた人も、体幹力が落ちていないか定期的にチェックしてみてください。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔
【書誌情報】
『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』
著:吉原潔
今や4人に1人が悩んでいるとも言われる国民病である『腰痛』。ぶつけた、痛めた、ぎっくり腰といった原因がハッキリしている腰痛だけでなく、『脊柱管狭窄症』『椎間板ヘルニア』『ぎっくり腰』などによる痛みや、病院で検査しても特に異常が無いと言われるものまで、痛みの原因は多種多様にあります。しかし、そんな痛みに対して痛み止めや筋弛緩剤などの薬で対処療法だけをしていても根本の治癒にはなかなか繋がらないため、しっかりと『腰痛の原因』と向き合うことが大切です。本書ではそんな腰痛を治して、長い人生を痛み無く健康に過ごすために、『脊柱脊髄外科専門医』と『フィットネストレーナー』という2つの肩書を持つ腰痛の名医による、腰痛が治らない意外な原因と、骨と筋肉にアプローチする自宅でできる腰痛のセルフケア法を紹介します。
公開日:2023.07.29