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人間における夢の不思議!全く想像もしたことのない夢を見てしまうのはどうして?【人体の不思議】

Text:西野精治

蓄積された記憶や情報がアトランダムに出てくるため

睡眠には、体は眠っていても脳は起きている「レム睡眠」と、脳は寝ているものの、感覚器や筋肉とはつながっている「ノンレム睡眠」があり、睡眠中はこの2つを1セット約90分程度の周期で繰り返しています。レム睡眠とは、眠っているヒトのまぶたの内側で眼球がキョロキョロ動く、急速眼球運動(rapid eyemovement:REM)を生じる浅い眠りです。

このとき、脳内では大脳辺縁系の海馬や扁桃体などの記憶にかかわる部位が活動し、情報の整理や統合、記憶の定着といった、いわゆる脳のメンテナンス作業がおこなわれています。

記憶を整理して神経細胞のネットワークを修正するのは脳にとって非常に大事な作業ですが、昼間おこなおうとすると大変な脳の容量が必要になります。そこで、進化の過程で獲得したのが睡眠中にメンテナンスをおこなうレム睡眠です。

一方のノンレム睡眠は、大脳皮質の神経細胞の活動が低下し、脳全体の血流も低下する深い眠りです。脳は休息状態ですが、成長ホルモンの分泌などはこのときにおこなわれます。

夢は、情報の整理や記憶の定着などの情報処理に伴うこれまでの経験や、蓄積してきた記憶・情報を整理する際に、その過程を脳で再現している知覚現象と思われています。

しかし、海馬などの記憶に関する部分が覚醒しているものの、思考や判断を担う前頭前野は眠っているので、つじつまの合わないランダムで荒唐無稽な夢だったりするのです。

一般的に夢はレム睡眠時に見るとされていますが、ノンレム睡眠時も見ています。レム睡眠は眠りが浅いために起床後よく思い出されますが、ノンレム睡眠時の夢は記憶に残らないのです。一見つじつまの合わない夢ですが、夢を見るからこそ日中に正常な意識で動けるのかもしれません。

出典:『図解 人体の不思議』監修/荻野剛志

『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』はこんな人におすすめ!

・人間の体の構造について学びたい
・人体における不思議なメカニズムについて触れてみたい
・誰かに話したくなる体の雑学を得たい

以上の方には「図解 人体の不思議」は大変おすすめな本です。

テレビやインターネットには健康に関するさまざまな情報があふれており、スマートフォンで専門的な知識ですら手軽に検索することが可能です。しかし、これらの健康に関する情報にはさまざまな内容が含まれており、その真偽を含めた有用性(どれが大事な情報か)を判断することが難しい状況があるように思われます。

これらの情報の有用性を判断して有効に活用し、自分自身が健康であるためには、まず人間の“からだ”についてできるだけ正しい知識を持つことが重要ではないでしょうか?なぜならこの正しい知識を持つことが、巷にあふれる健康に関する情報に流されず、鵜呑みにせず、どれが有用な情報であるのかを判断できるようになる土台となるからです。

本書では、人間の“からだ”についての理解を深めるための基本的な疑問を取り扱い、図解を入れながら、わかりやすく説明しています。読めば皆様の“からだ”のことをもっと知ろうとする意欲を刺激し、さらに知識を得るための第一歩となってくれるはずです。

脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?

生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。

動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。

また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。

天才は生まれつきではない、幼少期がポイント

ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。

しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。

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健康を考える上で「人体」について知っておくことの重要性はとても高いです。この一冊を読んで、睡眠を深く知り、健康な体を手に入れましょう。

【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志

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