練習の積み重ねで出る神経物質が助けてくれる!
ヒトが平衡を保てているのは、耳の奥にある「三半規管」と呼ばれる半円形の3つの器官(半規管)と「前庭」の働きによるものです。ところがヒトが回転すると三半規管で体の回転を感じます。3つの半規管にはそれぞれリンパ液と「クプラ」という絨毛が長く伸びた感覚細胞が集まっており、回転するとリンパ液の流れとクプラの動きが前庭神経から脳に伝えられグルグル回っているように感じるのです。
一方、眼球は、反射的に回転と逆の方向に動きます。頭が動いても見えている像がぶれないようにするためですが、回転が続くと動きについていけず、眼球がけいれんしたように揺れる「眼振」が起こります。体の回転を止めてもリンパ液の揺れは同時には止まらないため、〝体が回っている〟という情報が伝わってしまい、文字どおり目が回り続けるのです。
バレエでは目を回さない方法として「スポッティング」という技術があります。回転するときに、遠くの一点を選び、それを見つめ、体を回転させながら、ぎりぎりまで、その点を見つめ続けて、頭を回すときには一気に回して、再びその点を見つめるというテクニックです。
しかし、氷の上で回転するフィギュアスケートの場合はバレエよりも回転が速いため、スポッティングだけでは目が回ってしまいます。そのため、頭と目をできるだけ動かさないようにして、右回りのときは右側、左回りのときは左側に黒目を寄せて、まわりの景色を流れるように見ることで、できるだけ目の動きを抑えているのだそうです。とはいえ、スピンは1秒間に3〜4回転、全部で20回くらいは回っています。ところが練習によって徐々に体を慣らしていくと、「GABA」という抑制神経伝達物質が分泌され、目の回りを抑えてくれるのです。
『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』はこんな人におすすめ!
・人間の体の構造について学びたい
・人体における不思議なメカニズムについて触れてみたい
・誰かに話したくなる体の雑学を得たい
以上の方には「図解 人体の不思議」は大変おすすめな本です。
テレビやインターネットには健康に関するさまざまな情報があふれており、スマートフォンで専門的な知識ですら手軽に検索することが可能です。しかし、これらの健康に関する情報にはさまざまな内容が含まれており、その真偽を含めた有用性(どれが大事な情報か)を判断することが難しい状況があるように思われます。
これらの情報の有用性を判断して有効に活用し、自分自身が健康であるためには、まず人間の“からだ”についてできるだけ正しい知識を持つことが重要ではないでしょうか?なぜならこの正しい知識を持つことが、巷にあふれる健康に関する情報に流されず、鵜呑みにせず、どれが有用な情報であるのかを判断できるようになる土台となるからです。
本書では、人間の“からだ”についての理解を深めるための基本的な疑問を取り扱い、図解を入れながら、わかりやすく説明しています。読めば皆様の“からだ”のことをもっと知ろうとする意欲を刺激し、さらに知識を得るための第一歩となってくれるはずです。
脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?
生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。
動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。
また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。
天才は生まれつきではない、幼少期がポイント
ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。
しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。
シリーズ累計300万部は伊達じゃない!豊富に使われた図解の圧倒的わかりやすさ
本書は「図解」と銘打っているだけあって、図解やイラストがふんだんに使われています。手に取っていただいた読者から理解しやすいと大好評を得ているシリーズです!
右ページに文章、左ページに図解で解説という形で全頁が構成。
さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!この「眠れなくなるほど面白い図解シリーズ」は300万部を突破している大ヒットシリーズです。
日々の生活の必須知識として家に置いておきたい一冊!
健康を考える上で「人体」について知っておくことの重要性はとても高いです。この一冊を読んで、睡眠を深く知り、健康な体を手に入れましょう。
【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志
「頭のよさは脳の大きさと関係ない?」「別腹は本当にある?」「恋愛は3か月で冷める?」「薄毛も肥満も遺伝のせい?」ーー科学が発達した現在でも「人体」は多くの謎と不思議に包まれ、最も身近で興味深く関心の高いテーマです。本書では、最新データや研究にも触れながら、人体のナゾとフシギを解き明かします。実際に役立つ知識と情報満載の1冊!
公開日:2023.11.03