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首の負担の原因は肩甲骨? 連動する部位の改善が鍵を握る【スポーツ障害予防の教科書】

Text:土屋真人

首に過度の負担がかかるのは?

肩の負担の要因はその上下に問題がある

首の負担について考えてみましょう。首の不調で多い例は、上(空や天井)を見ることができなくなることです。首を後ろに動かす可動域が少なくなってしまった状態です。本来は首を後ろに動かすと顔の面と床が水平になるくらい動きます。そのうえでやっていただきたい動きが、肩甲骨を前に出した姿勢で上を向くことです。この状態では上を向く動き十分にできないことが体感いただけるでしょう。続いて左右の肩甲骨を背骨に近づけて上を向いてください。そうすると楽に上を見ることができます。つまり首が後ろに動かせない原因は首にあるのではなく肩甲骨の位置や動きが不十分の場合があるということです。また、左右の肩甲骨背骨に近づけるためには、胸郭部が伸展しなければなりません。胸郭部の伸展の動きが不十分であることが、首への過度な負担につながることも見えてきます。
次にイスに座って背もたれに当てるように骨盤を後傾させて肩甲骨を背骨に近づけてみてください。肩甲骨を背骨に十分に近づけることができないと思います。続いて骨盤を立てるようにして座り、肩甲骨を背骨に近づけてください。すると肩甲骨を動かしやすいと思います。先ほど胸郭部が丸まって肩甲骨が前に出たままだと、首に過度の負担がかかると述べましたが、なぜそのようになっているかというと、骨盤が後傾しているからかもしれないのです。つまり首以外の部位が要因で首に過度の負担がかかっている場合は、首以外の部位の動きをよくすることで首への負担軽減につながるわけです。

肩甲帯が十分に動かないと首に過度の負担がかかる【スポーツ障害予防の教科書】

骨盤が十分に動かないと首に過度の負担がかかる【スポーツ障害予防の教科書】

このように実際に身体を動かしてみると、人の身体が連動していることを実感できるでしょう。痛みや不調部位を改善するためには、他の部位を見ることが大切になるのです。

動きケア🄬による首の不調や怪我予防へのアプローチ【スポーツ障害予防の教科書】

動きケア🄬による首の不調や怪我予防へのアプローチ

不調がある部位が首の場合は、怪我予防の観点からチェック以外には動かさないようにしましょう。首の上下にある部位が十分に動いていないことが不調の原因になっている場合があるため、これらの部位が十分に動くようにしましょう。

動きケア🄬による首の不調や怪我予防へのアプローチ【スポーツ障害予防の教科書】

不調部位が首(頸部)の場合【スポーツ障害予防の教科書】

不調部位が首の場合

〇部位運動(痛くない部位の運動)

不調がある頸部のとなり部位から順にみていき、十分にできなくなった基本運動をできるようにしてあげます。

不調の首はチェックのみで動かす

首の基本運動
①前曲げ(屈曲)
②後曲げ(伸展)
③右側屈
④左側屈
⑤腕・右ねじり(右回旋)
⑥左ねじり(左回旋)
※頸部は積極的に動かしたり、直接的な外圧をかけることはしません。他の部位の動きを使って改善していくのが原則です。

出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』

【書誌情報】
『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
土屋真人

スポーツと姿勢は重要な関係にあり、姿勢が歪んでしまうと筋肉・柔軟性・可動域・バランスなどに影響を及ぼします。姿勢はちょっとしたことでも狂ってしまいますが、その修正方法を多くの選手は知りません。本書は姿勢を改善することでパフォーマンスをアップさせるとともに、ケガの予防にも役立つために、なぜ不調や痛みが生じるのか、どこの姿勢が狂っているのが原因なのかをわかりやすく解説し、その改善方法やトレーニングについてイラストと写真でビジュアル的に紹介します。人によって不調が生じる部分は様々です。首、肩。胸郭部、背中、腰、股関節、足、などの各部位ごとに必要な柔軟性をチェックし、不調の整え方、効果的なトレーニング、改善方法を、トレーナーを指導する体育協会理事長の著者が徹底解説する初めての一冊になります。

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