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動きケア®による予防と改善! 新発想の身体部分分けと基本運動④肩甲帯【スポーツ障害予防の教科書】

Text:土屋真人

身体の部分分けと基本運動④肩甲帯

現代人は下制と内転の動きがやりにくくなっている

肩甲帯の基本運動には、「挙上と下制」「外転と内転」「上方回旋と下方回旋」の6つがあります。これらの基本運動のなかで、現代人は日常的に挙上気味に生活していることが多く、下制の動きができなくなっている傾向があります。これに
はいくつかの理由が考えられますが、ひとつには我々が生活する現代社会という環境です。本来は交感神経と副交感神経が交互に働き、緊張とリラックスのバランスが取れていることが基本です。ところが、現代社会は緊張の要素が多く、そうなると自然に力が入りやすくなります。

スポーツ場面で「肩の力を抜いて」と言いますが、肩に力が入っている状態は闘争モードであり、緊張モードです。その状態で生活する時間が長く、肩甲帯挙上姿勢で固定化していることが、下制ができなくなっている要因の一つだと考えられます。

他の動きもみてみましょう。外転は肩を前に出すようにして背骨から肩甲骨を遠ざける動きです。対して内転は背骨に肩甲骨を近づける胸を張るような動きになります。現代人は日常的に外転気味に生活していることが多く、内転の動きが十分にできなくなっている傾向があります。お気づきだと思いますが、現代人の多くは猫背ぎみで、肩が前に出ています(肩甲帯が外転している)。その状態で生活する時間が長く、肩甲帯外転姿勢が固定化すると、内転の動きが十分にできなくなるのです。それから、上方回旋と下方回旋の動きですが、肩甲骨の下部が外方へ開くような動きが上方回旋で逆の動きが下方回旋になります。腕を横から耳横まであげる動作を考えてみましょう。肉眼的には脇の下が90度弱くらいまでが上腕骨の動きで残りは肩甲帯の上方回旋の動きで耳横まで腕があがるのです。ですから、特に肩よりも腕を上げる動作を繰り返すスポーツでは肩甲帯の動きが不十分だと肩に大きな負担がかかってきます。また、首の不調を抱えている方には肩甲帯の動きが不十分なケースがたくさんみられます。肩のスポーツ障害予防改善、首の不調予防改善のために肩甲帯の動きに目を向けてみてください。

肩の構造

棘上筋の上にある第2肩関節。ここの間が狭いため、骨と筋、骨液胞などがぶつかったりしやすい。そうなると炎症を起こして肩の痛みを発症しやすい。

肩の構造【スポーツ障害予防の教科書】

6つの肩甲帯の基本運動

①挙上⇔②下制
③外転⇔④内転
⑤上方回旋⇔⑥下方回旋

【スポーツ障害予防の教科書】

出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』

【書誌情報】
『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
土屋真人

スポーツと姿勢は重要な関係にあり、姿勢が歪んでしまうと筋肉・柔軟性・可動域・バランスなどに影響を及ぼします。姿勢はちょっとしたことでも狂ってしまいますが、その修正方法を多くの選手は知りません。本書は姿勢を改善することでパフォーマンスをアップさせるとともに、ケガの予防にも役立つために、なぜ不調や痛みが生じるのか、どこの姿勢が狂っているのが原因なのかをわかりやすく解説し、その改善方法やトレーニングについてイラストと写真でビジュアル的に紹介します。人によって不調が生じる部分は様々です。首、肩。胸郭部、背中、腰、股関節、足、などの各部位ごとに必要な柔軟性をチェックし、不調の整え方、効果的なトレーニング、改善方法を、トレーナーを指導する体育協会理事長の著者が徹底解説する初めての一冊になります。

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