身体の部分分けと基本運動⑤肩
スポーツ障害予防改善は外旋と内旋から
肩の基本運動には、「屈曲と伸展」「外転と内転」「外旋と内旋」「水平屈曲と水平伸展」という8つの動きがあります。上腕骨が前に動くのが屈曲で後ろにいくのが伸展、外に開くのが外転で内方に閉じるのが内転です。さらに外方にねじる動きが外旋で内方にねじる動きが内旋、脇の下を90度にしてあごの下へもっていく動きが水平屈曲で後ろに持っていく動きが水平伸展になります。
肩関節はボール&ソケットジョイント(イラスト1)と呼ばれることがあります。ボールに対してソケットが圧倒的に小さいという特徴があるため、メリットとしてはいろいろな方向に大きな可動域で動くことができます。一方で肩が外れやすい、緩みやすい、不安定になりやすいというデメリットもあります。その不安定になりやすい肩を安定させるために働いているのがローテーターカフと呼ばれる4つの筋です。野球肩、水泳肩、テニス肩などスポーツ肩と呼ばれるスポーツ障害ではたいてい外転の動きで痛みを感じます。この時、他の基本運動もチェックしてみると、内旋や外旋は痛みを感じない場合があります。その場合、動きケア®では「痛い部位は○方向運動」の原則にそって内旋と外旋の動きを行います。ローテーターカフの肩甲下筋の機能を高める内旋エクササイズと棘下筋・小円筋の機能を高める外旋エクササイズです。外転の動きで痛みがなくなったら、棘上筋の機能を高めるエクササイズに入っていきます。このようにローテーターカフの機能を高めて肩の安定性向上を目指す場合も○方向運動を使います。
ボール&ソケットジョイント
ボールに比べて圧倒的にソケットが小さいため、いろいろな方向に大きな可動域で動くというメリットがある。反面、外れやすい、不安定になりやすいというデメリットがある。
ローテーターカフ
外旋と内旋に働く4つの筋の総称がローテーターカフである。上腕骨を正しい位置にキープするという重要な役割を担う。
8つの肩の基本運動
①屈曲⇔②伸展
③外転⇔④内転
⑤外旋⇔⑥内旋
⑦水平屈曲⇔⑧水平伸展
出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
【書誌情報】
『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
土屋真人
スポーツと姿勢は重要な関係にあり、姿勢が歪んでしまうと筋肉・柔軟性・可動域・バランスなどに影響を及ぼします。姿勢はちょっとしたことでも狂ってしまいますが、その修正方法を多くの選手は知りません。本書は姿勢を改善することでパフォーマンスをアップさせるとともに、ケガの予防にも役立つために、なぜ不調や痛みが生じるのか、どこの姿勢が狂っているのが原因なのかをわかりやすく解説し、その改善方法やトレーニングについてイラストと写真でビジュアル的に紹介します。人によって不調が生じる部分は様々です。首、肩。胸郭部、背中、腰、股関節、足、などの各部位ごとに必要な柔軟性をチェックし、不調の整え方、効果的なトレーニング、改善方法を、トレーナーを指導する体育協会理事長の著者が徹底解説する初めての一冊になります。
公開日:2024.07.15