連動ケア&立位連動ケアとは
各部位がスムーズに連動する本来の動きに戻すという考え方
人の身体は何かの動作をする時に、いろいろな部位が連動して動きます。身体の〝部分〞であるそれぞれの部位が十分な機能を発揮しながらスムーズに連動するように仕上げていくことが「連動ケア」になります。興味深いことですが、ある部位を部分的に動かす時には十分に動くのに、全体の連動の中では、その部位が十分に動かなくなる場合があるのです。すると別の部位がその部位の動きをカバーするために過剰に働くことになって過度の負担がかかり、故障につながることもあります。スポーツ障害予防のためにも連動をみる目を養っておくことが大切です。
またパフォーマンスにとっても連動をみることは重要です。全体の連動の中で、パフォーマンスは最も低機能な部位の機能に見合ったものとなるからです。例えば、右足の親指にとげが刺さり、床につくことができなくなった場合をイメージしてみてください。足親指・屈曲という機能がなくなっただけで、全身の連動である歩きはゆっくりで、ぎこちないものに変わってしまいます。足首、膝、股関節、骨盤部などにどれだけ高い機能があったとしても、歩くという連動のパフォーマンスは最も低機能の足親指・屈曲に見合ったものになってしまったわけです。これは極端な例ですが、日頃の微妙なパフォーマンスの変化に意識を向けておくことは重要です。いつのまにか、どこかの部位が十分に動かなくなっていて、全体の連動に狂いが生じ、全体のパフォーマンスがその部位の機能に見合ったものになっているかもしれません。そのままにしておくと、他部位に過度の負担がかかりスポーツ障害になるリスクも高まります。
連動エクササイズがスムーズにできない場合、たいていどこかの部位が十分に動かなくなっています。連動エクササイズをチェックとしても活用してください。そして立位連動ケアですが、人は基本、二足直立で移動する動物です。ここまで、仰臥位や側臥位、座位などで行ってきた部分・動きケア、連動ケアを立位で活かすためにも、最後は立位で仕上げていくわけです。
出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
【書誌情報】
『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
土屋真人
スポーツと姿勢は重要な関係にあり、姿勢が歪んでしまうと筋肉・柔軟性・可動域・バランスなどに影響を及ぼします。姿勢はちょっとしたことでも狂ってしまいますが、その修正方法を多くの選手は知りません。本書は姿勢を改善することでパフォーマンスをアップさせるとともに、ケガの予防にも役立つために、なぜ不調や痛みが生じるのか、どこの姿勢が狂っているのが原因なのかをわかりやすく解説し、その改善方法やトレーニングについてイラストと写真でビジュアル的に紹介します。人によって不調が生じる部分は様々です。首、肩。胸郭部、背中、腰、股関節、足、などの各部位ごとに必要な柔軟性をチェックし、不調の整え方、効果的なトレーニング、改善方法を、トレーナーを指導する体育協会理事長の著者が徹底解説する初めての一冊になります。
公開日:2024.07.22