歩きのチェック
あおり歩行ができる足の使い方ができているか
今度は歩き方のチェックです。足裏をバランスよく使う歩き方のひとつが、踵から着地して小指球↓母指球に体重を移動し、最後に母趾で蹴るという歩き方です。このときに見られる足裏を内方に向けたところから地面に向ける動きを「あおり」と呼びます。無理のないあおり歩行をするためには
①足・足部による内がえしと外がえしばかり
に目がいきがちですが、実は
②股関節の内旋と外旋
③骨盤部の左右傾け
もポイントです。スムーズなあおりができなくなっている時に股関節や骨盤部の動きが十分にできるようにすると、あおりもできるあおり歩行ができるようになる場合があるのです。膝から下に痛みや不調を抱えている方は、あおり動作ができなくなっている場合が多く見られます。
また項目(4)の「着地時のつま先の向き」ですが、動きケア®では着地時につま先がまっすぐ前を向くことを標準的と考えています。少しやってもらいたいのですが、足を前に出して外向きで着地して前へ進もうとすると、母指球側に体重がかかりやすくなります。逆に内向きで着地をすると、小指球側に体重がかかりやすくなります。このようにつま先の向きが外向きや内向きの場合は、足裏荷ります。また、つま先が外向きや内向きの場合は、スムーズなあおり動作も難しくなります。
続いて後ろから見た蹴り出した後の足ですが、踵小指球母指球をバランスよく使った場合にはつま先が真下(地面方向)を向きます。我々はこれを標準的と考えています。ところが蹴り出した後につま先が外方を向いたり、内方を向いているケースがあります。特につま先が外方を向いている、つま先を外から回すようにする歩き方は「アブダクトリーツイスト」と言って痛みが出やすいことが知られています。もう1つの足裏をバランスよく使う歩き方が、「足裏全体同時着地歩き」です。踵に痛みがある時や滑りやすい雪道を歩く場合にも活用できます。
歩きのチェック
チェック項目
(1)頭の位置が肩の真上にあるか(動く前の立位時)
(2)骨盤はやや前傾しているか
(3)脚のつけ根・膝・足首の配列はまっすぐか
(4)足を前に出した時、つま先は前を向いているか
(5)足を後ろに蹴り出した時、つま先は真下を向いているか
できていない例
(1)頭の位置が肩の真上にあるか(動く前の立位時)→肩が頭より前に出ている(頭部前方姿勢)
(2)骨盤はやや前傾しているか→骨盤が後傾している
(3)脚のつけ根・膝・足首の配列はまっすぐか→膝が内側もしくは外側に位置している
(4)着地時につま先の向きが前か→外向きや内向きになっている
(5)後ろから見て、蹴った後につま先が下を向いているか→外側や内側を向いている
正面から見た歩き方
つま先が正面を向いた歩き方
つま先が正面を向くことで、スムーズなあおり歩行ができる。
つま先が内向きの歩き方
スムーズなあおり歩行ができない。母指球側への荷重に偏りやすい。母指球や足裏、膝の内側や股関節などに過度の負担がかかりやすい。
つま先が外向きの歩き方
スムーズなあおり歩行ができない。着地をすると母指球側に体重がかかりやすい。小指側でしか地面を蹴れない。
後ろから見たつま先の向き
つま先が真下を向いている
標準的な歩き方になる。踵から着地して小指球→母指球に体重を移動して、最後に母指で蹴るといった動きで、足裏をバランスよく使っている。
つま先が外向き
母指側に負担がかかりやすい。特に母指球や足裏、膝の内側に過度の負担がかかる傾向にある。
つま先が内向き
子指側に負担がかかりやすい。特に子指球や足裏の外側や膝、股関節などに過度の負担がかかる傾向にある。
出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
【書誌情報】
『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
土屋真人
スポーツと姿勢は重要な関係にあり、姿勢が歪んでしまうと筋肉・柔軟性・可動域・バランスなどに影響を及ぼします。姿勢はちょっとしたことでも狂ってしまいますが、その修正方法を多くの選手は知りません。本書は姿勢を改善することでパフォーマンスをアップさせるとともに、ケガの予防にも役立つために、なぜ不調や痛みが生じるのか、どこの姿勢が狂っているのが原因なのかをわかりやすく解説し、その改善方法やトレーニングについてイラストと写真でビジュアル的に紹介します。人によって不調が生じる部分は様々です。首、肩。胸郭部、背中、腰、股関節、足、などの各部位ごとに必要な柔軟性をチェックし、不調の整え方、効果的なトレーニング、改善方法を、トレーナーを指導する体育協会理事長の著者が徹底解説する初めての一冊になります。
公開日:2024.07.26