LOVE SPORTS

  • HOME
  • SPORTS LAB
  • 症状と漢方処方 せき【生薬と漢方薬の事典】

症状と漢方処方 せき【生薬と漢方薬の事典】

Text:田中耕一郎

せき

せきは本来、気道にある異物を除こうとする反応ですが、長引く慢性のせきがあるときには、肺の気虚・陰虚が関係し、せきがそれらをさらに悪化させるという悪循環になっています。陰虚、血虚の状態になっていると、夜に症状がひどくなるなど、病症により、せきの出方が違います。処方を考えるときは、痰の出方や、せき以外の症状もあわせ、よく検討することが大切です。

体質からみる肺陰虚によるせき

あまり痰は出ずむせるようなせきが出る

処方:麦門冬湯/清肺湯

口やのどが乾燥する

痰をともなわず、夜になると症状が出るようなせきです。口やのどが渇き、舌が紅くなったり、声もしわがれたりします。

このような乾燥性のせきには麦門冬湯でうるおいを。もともと肺の病気をもった人、痰がからむような人には、肺の陰を補うほか、清熱や痰を除く働きの高い清肺湯を用います。

体質からみる気血両虚によるせき

力のないせきでせき以外の症状もみられる

処方:人参養栄湯

かぜなどで体が弱っている

もともと虚弱体質だったり、病後などで体が弱っていたり、高齢者などに多い、弱々しいせきです。気血ともに虚していて、倦怠感や食欲不振など、せき以外の症状もみられます。

衰えてしまった気血を補い、消化機能と呼吸機能とを高めるよう人参養栄湯を用います。

体質からみる気滞によるせき

スッキリしないのでせきばらいをしたくなる

処方:神秘湯

肺の気の動きが滞る

長い緊張が続くと出るせきは、肺の気の流れが滞っているため、肺がすっきりせずに出ていると考えられます。神経質で、普段から呼吸が浅い人に多くみられ、すぐに、せきばらいをしたり、緊張でせき込んだりします。

神秘湯で肺気の流れをスムーズに。痰がからむときは、半夏厚朴湯もよいでしょう。

養生・セルフケア

ツボ

痰がからみのどがつまるようなときには天突を。雲門も肺にかかわる症状に効果のあるツボです。

症状と漢方処方 せき【生薬と漢方薬の事典】

天突
鎖骨と鎖骨の間のくぼみ。強く押すと苦しいのでやさしく。

雲門
鎖骨下、肩側のくぼみ。

【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎

【書誌情報】
『生薬と漢方薬の辞典』
著:田中耕一郎/ 監修:奈良和彦・千葉浩輝

生薬と漢方薬の事典カバー画像
Amazonで購入する →

漢方の処方によく使われる生薬と漢方薬の事典。
漢方の元となる生薬図鑑では、119の主な生薬について、元となる植物を、写真と細密なイラストで紹介。
薬効や処方だけでなく、生薬に対する知識や理解をより深めることができます。

不調やトラブルに対する漢方処方は、体質や病邪からみています。
どんな体質の人がその症状に陥りやすいのかどこに原因があるのか、どの漢方薬を処方するのか。およそ30の症状について個別に解説しています。
専門家による「証」を基準とせず、体質で判断できるので、一般の方にもわかりやすい内容です。

漢方薬については、298処方の適応症状、体質、分量、出典などを紹介。
漢方を学ぶ人だけでなく、漢方薬局や漢方処方に興味のあるすべての方におすすめの一冊です。

  • この記事を共有する!