実は日本には多くの金や銀が眠っている!?【図解 地理と経済の話】
廃棄されたスマホや家電は実は宝の山
近年よく耳にする、レアメタルやレアアースという言葉。レアメタルは特定の鉱物を指すのではなく、レア(希少)な金属という意味で、計31種類あります。レアアースは、そのうちの17種類ある元素(希土類)の総称です。
レアメタルは、半導体や特殊合金として用いられる先端産業にはなくてはならないものです。ところが、希少性の高さから需要が供給量を上回るのが常。そこに生産国との外交関係の悪化や紛争、生産地の政情不安などが生じれば、たちまち供給がとだえるリスクを抱えています。実際過去に日中関係が悪化し、レアアースの世界的な供給国である中国が対日禁輸措置を講じたケースもありました。同じことがくり返されないよう、日本は中国への依存度を引き下げると同時に備蓄も進めていますが、なかなか思うようにいかないのが実状です。
そんななか注目されつつあるのが、スマホやPC、家電などの廃棄物に含まれるレアメタルです。いわゆる「都市鉱山」と呼ばれるもので、日本におけるその蓄蔵量は金で6800t、銀で6万tといわれています。世界全体の埋蔵量と比較すると金が約16%、銀が約22%で、まさに宝の山といっていいでしょう。こうした眠れる資源をムダにしないよう、リサイクル推進の動きが高まっています。
廃棄物をリサイクルして有効利用
・スマホやPC、デジタルカメラなどの小型家電には、さまざまなレアメタルが使用されている。それが回収されずに廃棄されている現実を指して「都市鉱山」という。循環型社会実現のためにも、これら廃棄物のリサイクルが重要だ。
眠れる海洋資源メタンハイドレート
・メタンハイドレートはメタン(天然ガス)と水が結合した物質のことで、氷状のため「燃える氷」とも呼ばれている。領海と排他的経済水域を合わせた面積が世界第6位の日本の海底には、年間消費量の100年分の埋蔵量があると考えられている。ただ、採掘コストがかかるほか、安定生産するための技術も確立されておらず、まだまだ実用化にはほど遠い。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
・インドでIT産業が特に発展したのはなぜ?・天然資源に恵まれたアフリカがなかなか成長できなかったのはなぜ?・中国やインドに続いて今後さらに伸びていく国はどこ?・中東で大量の石油が採れるのはなぜ? これらはすべて「地理」で説明ができます。今の世界情勢からこの先世界がどう動いていくかまで、世の中の流れがわかるようになる「経済地理学」が面白く学べる一冊です!
公開日:2024.10.17