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チューリップはなぜ完全に開かないの?【眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話】

Text:監修:稲垣栄洋

Q. チューリップはなぜ完全に開かないの?

A. 満開になるが、見るタイミングを逃している

ふつうの花は朝に開き、夜に閉じることを毎日繰り返します。それは送粉昆虫が来る昼間に咲かないと、受粉できない恐れがあるからです。夜はガなどのほかは、ほとんど虫が来ないので花を閉じることで無駄を省いています。

しかし、チューリップは、昼間は満開しません。チューリップは、外で咲くときは気温によって開花するかどうかが決まります。暖かい部屋に置けば満開しますが、散るのも早いです。

チューリップは、気温が20℃前後になると開きはじめ、10℃前後で閉じます。チューリップのように温度によって花の開閉が決まることを「温度傾性」といいます。また開くとき、花びら下部の水分が増え、逆に閉じるときは水分が失われます。

チューリップの開花は約1週間で、朝に満開し、日中は少しすぼめ、夕方に再び閉じるというサイクルを数回繰り返します。

夜咲く花もたくさんあります。特に、夜になっても気温の高い熱帯地方の花は、夜咲くものが多いようです。これは熱帯地方では、夜に活動するスズメガなどの昆虫、花蜜を求めて飛ぶコウモリなどの動物が多いからです。夜咲く花は、これらの生き物によって受粉し、子孫を残します。

では、生き物たちは暗い夜にどうやって花を見つけるのでしょうか。答えは、花の色と香りです。

白ければ月あかりで十分見えますから、夜咲きの花は白色が多いです。また熱帯の夜に咲く花は、強い芳香を放ち、生き物たちを引き寄せます。

たとえば、レンブという実をつけるローズアップルの花は、熱帯から亜熱帯にかけて自生するフトモモ科の花です。夜咲きで強い芳香を放ち、香りは隣近所にも及ぶそうです。

1開いたり、閉じたりする花の秘密

16世紀、オスマントルコ帝国では花の栽培が盛んに行なわれ、とりわけチューリップの品種改良が盛んだった。このチューリップ熱はヨーロッパにも伝わり、そのときトルコ語でターバンを意味するチュルバン(ツリバン)という言葉が花の名前として誤って伝えられ、チューリップという名になったといわれる。しかし、花が満開しない姿はターバンそっくりだ。

花びらの水分が失われる 茎から花びらに水分が送られる

10℃前後で花びらの細胞から水分が抜けて閉じる。20℃前後で花びらに水分が送られて、細胞が膨らんで開く。

2昼に咲く花 、夜に咲く花

昼間咲く花には、チョウなど昼間活動している昆虫などがやってくる。昼間の花がカラフルなのは、昆虫を呼び寄せて、受粉を成功させるため。

夜に咲くカラスウリのような花には、夜活動する昆虫のスズメガがやってくる。夜咲く花の多くが白いのは、月の光などで目立つようにするため。

この見た目がすごい

開閉する花はまだ若くて花びらの成長が止まっていない花。咲きっぱなしの花は成長が止まった老いた花。花の開閉にはまだ謎が多い。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋


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