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紫外線の攻撃をどうやってかわす?【眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話】

Text:稲垣栄洋

Q 紫外線の攻撃をどうやってかわす?

A 花の色は伊達ではなく、紫外線によって生じる活性酸素を消す

太陽光に含まれている紫外線は、生物にとって有害な光線です。紫外線を吸収すると、体に活性酸素が発生し、これが悪さをするからです。活性酸素とは、物質を酸化させる力が強く、人の場合、体内の有害物質などを除去する働きがありますが、増えすぎると正常な細胞を攻撃します。植物にとっても活性酸素は有害となるやっかいな存在です。

さまざまな色彩の花を咲かせる被子植物は、どうやって紫外線を防いでいるのでしょうか。その秘密のひとつは、花の色そのものにあります。無数にある花の色の元も、たった3種類の色素からできています。 フラボノイド(アントシアニン:赤〜青 )、カロテノイド(黄)、ベタレイン(黄〜紫)で、葉の緑となるのはクロロフィル(緑)です。じつは、植物の色素は、花を飾って虫や鳥を呼び寄せるだけではありません。紫外線に当たって発生する活性酸素を抑制する活躍もしています。

活性酸素は体の老化を速め、さまざまな病気の原因となります。植物にとって大切な種子は、活性酸素に無抵抗ですから、なんとか活性酸素を消す必要があります。

そこで植物はビタミンCやビタミンEという抗酸化物質を合成して活性酸素を消します。また、抗酸化作用のある花の色素は、めしべの柱頭の奥にある種子のできるところである胚珠を紫外線から守ります。植物はこうした合わせ技によって、有害な紫外線からできる抗酸化物質を消しているのです。

高山地帯のように、紫外線が平地よりずっと強い場所に育つ花は、色彩が鮮やかです。これは紫外線を避けるため、抗酸化作用のある色素をどんどん増やした結果と考えられています。

花の色の2つのはたらき

無数に見える花の色のおおもとは3つ

このサバイバル術がすごい!

屋内で育つ花より、屋外の花のほうが紫外線を直接受けるため、鮮やかになる。さらに紫外線の強い高山地帯で育つ花は、もっと鮮やかになる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋


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