おならの臭さのもとは腸内環境にある
「出物腫れ物所嫌わず」といわれるように、出てほしくないときに限って出てしまう「おなら」と「ゲップ」は同じ空気からなる、いわば兄弟同士の間柄です。息を吸ったときに吸い込む空気は、気管を通って肺に行きますが、おならやゲップのもとの正体は、食べものと一緒に飲み込んだ空気です。
私たちは、食事をしたり唾液を飲み込んだとき、おしゃべりをしているときなど、知らないうちに空気を一緒に飲み込んでいます。
ほかにもビールや炭酸飲料を飲むことで発生した二酸化炭素などのガスは、胃の上部にある「胃底部」にたまっていきます。これらがいっぱいになり、一定量を超えて圧力が高まると、胃が楽になろうとして噴門を開き、逆流して口から出るのがゲップなのです。
一方、残りの空気は食べもののカスと一緒に腸に移動し、おならとして肛門から出ていくのです。空気の成分は窒素と酸素、二酸化炭素などですが、空気は臭くないのにおならが臭いのはなぜでしょうか。
それは、腸内の細菌が大腸に運ばれてきた食べもののカスを分解し、栄養とする際に出る腸内細菌から生まれる硫化水素などのガスが、においのもととなっているのです。そのため、おならのにおいは、その人が食べたものによって変わります。
肉類やチーズ、卵などの動物性食品やニンニクなど臭いのきつい食品からは臭いガスが発生し、芋やキャベツなどの繊維質の多い野菜から出るガスには、あまりにおいはありません。臭さのもとは腸内環境にあるようです。
一般に、健康な人では1日に平均して5〜6回はおならをするといわれます。おならを我慢すると健康を害する可能性がありますから、無理な我慢はしないようにしましょう。
出典:『図解 人体の不思議』監修/荻野剛志
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監修:荻野剛志
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公開日:2021.10.15