家柄と才能、結婚するならどっちが得か
将来性なら才能重視か?
お金持ちの家に生まれた平凡な人と、お金はないけど遺伝的な才能を持った人がいたとして、結婚するならあなたはどちらを選びますか?
裕福な家に生まれた子は、その行動に遺伝的な素質が影響しやすいというデータがあります。家庭に余裕があることで、子どもはやりたいことができる。勉強が好きな子は勉強を、スポーツが好きな子はスポーツと、好きなことを自由にできることで、それぞれ遺伝的素質が現われやすくなります。これに対し、裕福でない普通の家庭に生まれた子は、経済的な制限からできることの幅が相対的に狭く、親が用意した環境の中で生きていくことになります。そのため、遺伝的素質が十分に発揮されない場合もあり、能力や行動は家庭環境の影響を大きく受けます。
一方、その人の収入は、若いうちは家庭環境に左右されますが、年齢とともに遺伝的素質が大きく影響するようになるという研究報告があります(122ページ参照)。結局は才能がものをいうわけで、その点ではお金がなくても才能のある人のほうが将来性があるといえます。なお、前述のようにお金のない家庭で育つとやりたいことができず、遺伝的素質を十分に生かせない可能性もあります。将来性の芽を摘んでしまわないよう、このあたりは行政の力で何らかのサポートが必要ではないかと思います。
家柄が才能に及ぼす影響
遺伝的素質の高い・低いが才能として現われやすい
裕福な家庭では子どもに好きなことをやらせる余裕があります。勉強が好きな子は勉強を、スポーツが好きな子はスポーツを存分にでき、その結果としてそれぞれ遺伝的素質が反映されやすくなります。
家庭環境( 共有環境 )が才能に影響しやすい
裕福でない普通の家庭では、子どもに好きなことをやらせる余裕がなく、子どもは親のつくった環境で生きていくことになります。そのため、遺伝的素質が十分に発揮されない場合もあり、家庭環境が能力や行動に大きく影響する傾向があります。
遺伝的素質の高い子は家柄にかかわらず才能を発揮できる……?
遺伝的素質の高い子は、環境にかかわらず才能を発揮するという研究があります。しかし現実的には、やりたいことが自由にできない家庭ではなかなか難しいかもしれません。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修:安藤寿康
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環境や努力は遺伝に勝てない!?行動遺伝学者が語る“遺伝のタブー”を図解でわかりやすく解説!【遺伝の話】
「生まれ持った才能」「容姿の格差」「親ガチャ」…誰しもなんとなく気が付いて受け入れているものの、表立ってその違いを口にすることはタブーとされがちな遺伝の話。
近年、インターネット上でもさまざま議論がなされ、「遺伝」に関する話題は注目を浴びています。
一般的に遺伝といえば、身長や体重、髪の毛や瞳の色といった身体的特徴が親から子に受け継がれることを指し、遺伝学とはこういった特徴が次世代にどのように引き継がれるかを研究する学問です。その中でも特に、遺伝と環境が人の成長にどう影響しているかを解明していく分野を「行動遺伝学」といいます。
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公開日:2024.11.21