DNA鑑定の精度はどれくらい?
565京人からひとりを識別可能に
映画や刑事ドラマなどですっかりおなじみとなった科学捜査の手法のひとつに「DNA鑑定」があります。事件現場に残された痕跡から被害者や犯人を特定したり、親子の血縁関係を調べたりと、わずかな痕跡で何でも解明する魔法のツールのように描かれることもありますが、実際の精度はどれほどなのでしょうか?
現在、警察が事件捜査で行っている鑑定方法のひとつが「STR型検査法」です。左ページの上図がそのイメージで、特徴的な塩基配列が繰り返される回数に個人差がある点に着目し、これを染色体上の15部位で比較して識別を行うというもの。その精度は日本人にもっとも多いDNA型の場合でも、約4兆7000億人の中からひとりを識別できるといわれています。新たな検査試薬によりその精度はさらに向上しており、最近では565京人にひとりの確率で個人の識別が可能だそうです。地球の人口約80億人と比べると4兆7000億人でも585倍、565京人だとなんと7億倍! 数字の桁が大きすぎていまひとつピンと来ませんが、想像を絶する精度なのは間違いありません。
DNA鑑定の精度向上に伴って民間でもさまざまなサービスが始まっています。食の安全性や人間の健康、資質に関する判定など興味深いものも多く、今後の発展にも注目です。
DNA鑑定(STR型検査法)の仕組み
STR型検査法 - 特徴的な塩基配列の繰り返しの回数に着目
犯罪捜査以外にも可能性は無限大
DNA鑑定を用いた民間サービスも増えてきており、親子・きょうだい間の血縁関係の確認やスポーツなどの適性・資質判定、食品の安全性検査などにも活用されています。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修:安藤寿康
≪累計300万部突破!『眠れなくなるほど面白い図解シリーズ』≫
環境や努力は遺伝に勝てない!?行動遺伝学者が語る“遺伝のタブー”を図解でわかりやすく解説!【遺伝の話】
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公開日:2024.12.05