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なぜ、がんになるの?日本人に下戸が多いのはなぜ?【眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話】

Text:高橋祥子

なぜ、がんになるの?

細胞のコピーミスがきっかけ

日本人の 2 人に 1 人ががんになるといわれていますが、その原因は私たちの体をつくっている細胞にあります。体には約37 兆個の細胞があり、毎日数千個単位の細胞が死んでは細胞分裂をして、新しい細胞をつくり続けています。細胞分裂をする前は、体の設計図である遺伝子をコピーして同じ細胞をつくりますが、コピーミスが起きることがあります。コピーミスによって遺伝子が変化し、その異常な細胞が増えると、かたまりになります。これが、がんの正体です。

私たちの体にはもともと、異常な細胞を取り除いたり修復したりする働きがそなわっていますが、なにかの理由でその働きができなくなると、異常な細胞が生き残って、コピーを繰り返して増え続け、がん細胞となって、まわりの組織や大腸や胃、肺などの臓器に侵入していきます。

ただ、すべてのコピーミスががんになるわけではありません。悪さはしないで、むしろ進化のきっかけになることもあります(P.98 参照)。

お酒が飲める人、飲めない人

日本人に下戸が多いのはなぜ?

お酒をいくら飲んでも、まったく酔わない人もいれば、ちょっとなめただけでも顔が真っ赤になって酔っぱらってしまう人もいます。この違いはどこにあるのでしょう。

お酒が飲めるか飲めないか、あるいは、アルコールに強いか弱いかは、お酒を飲んだときに発生する有害物質、アセトアルデヒドをすばやく処理できるかどうかにかかっています。アルコールは、ADH1B という遺伝子の働きでアセトアルデヒドに変わり、ALDH2 という遺伝子の働きで分解されます。遺伝子ALDH2 がきちんと働けば、悪酔いすることもなくお酒を楽しむことができますが、この遺伝子に異常があると、分解されないアセトアルデヒドが体内に長くとどまって、悪酔いしたり、お酒が飲めない体質になってしまいます。

歴史的に日本人などモンゴロイド系の人々は、遺伝子の突然変異のために、アセトアルデヒドが分解されにくい体質になり、お酒に弱くなっていったといわれています。逆に、ヨーロッパやアフリカ系の人々にこうしたことはなく、お酒に強いとされています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』著:高橋祥子

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』
著:高橋祥子

『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』は、生命科学の基本概念を分かりやすく解説した書籍です。生命科学は、生物の構造や機能、進化などを研究する学問ですが、専門的な知識が必要で、難しく感じることも多い分野です。しかし、この本では、豊富な図解やイラストを使い、専門用語や複雑な内容をわかりやすく噛み砕いて説明しています。

特に、DNA、遺伝子、進化、免疫など、私たちの体や生命現象に関わる重要なトピックを、科学的な視点から解説しつつ、日常生活に関連づけて説明しています。初心者でも理解できるように配慮されており、難解なテーマでも「なるほど」と納得できる構成になっています。この本は、生命科学に興味があるけれども専門的な知識がない方、または生物学を学んでいる学生など、幅広い読者におすすめです。

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