絶滅した恐竜やマンモスの復活はできる?
ゲノム編集で絶滅危惧種を救え!
6600万年前に絶滅した恐竜をよみがえらせる。まるで映画の世界のようですが、じつは恐竜は、私たちに身近な鳥の先祖。一部共通のDNAをもっているので、ゲノム編集で恐竜に近い動物をつくることは可能かもしれません。実際に、数千年前に絶滅したケナガマンモスを復活させようというプロジェクトがあります日本も近畿大学がロシアのサハ共和国と共同で、研究を進めています。
そんな大昔の動物をどうやって調べるのでしょうか。実はマンモスの化石が眠っているのは永久凍土で、DNAを取り出すにはいい状態だといえます。となれば、ゲノム編集が可能。マンモスの改変したDNAを現代のメスのゾウの卵細胞に入れ、妊娠させてクローンをつくる方法が考えられました。ただ問題は、ゾウ自体が絶滅しかかってということです。そこで、ゾウに負担をかけないiPS細胞をつくって、人工子宮で受精させようという方法が進められています。
このほかに、17世紀に絶滅したモーリシャス島のドードーや、20世紀にタスマニア島で絶滅したフクロオオカミなどの復活も計画されています。しかし、技術的には可能であっても、最近絶滅した動物や、現在わずかしか残っていない動物に限るべきだという指摘もあります。
マンモス復活への挑戦
マンモスをよみがえらせるには、絶滅したマンモスの良質なDNAを見つけられるかどうかがカギ。幸いなことに、永久凍土の寒く乾燥した地帯に生息していたマンモスのDNAは、保存状態がよかった。
絶滅種復活作戦は何のため?
マンモス復活作戦というと、夢のようなテーマパークを想像しがちですが、そうではありません。あくまで、温暖化や森林の伐採、開拓や乱獲などで絶滅しかかっている動物を救うため。復活作戦の研究がゲノム編集の技術を向上させ、姿を消しつつある動物たちの子孫を取り戻すことができれば、地球の環境もよくなるのではないか。研究者からは、そんな声も聞かれます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』著:高橋祥子
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』
著:高橋祥子
『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』は、生命科学の基本概念を分かりやすく解説した書籍です。生命科学は、生物の構造や機能、進化などを研究する学問ですが、専門的な知識が必要で、難しく感じることも多い分野です。しかし、この本では、豊富な図解やイラストを使い、専門用語や複雑な内容をわかりやすく噛み砕いて説明しています。
特に、DNA、遺伝子、進化、免疫など、私たちの体や生命現象に関わる重要なトピックを、科学的な視点から解説しつつ、日常生活に関連づけて説明しています。初心者でも理解できるように配慮されており、難解なテーマでも「なるほど」と納得できる構成になっています。この本は、生命科学に興味があるけれども専門的な知識がない方、または生物学を学んでいる学生など、幅広い読者におすすめです。
公開日:2024.10.15