「老化する」ってどういうこと?
古い細胞がたまって体の働きを邪魔する
体の中では毎日、古い細胞と新しい細胞が入れ替わりながら、生命の活動を支えています。古い細胞は体外に捨てられるしくみになっていますが、赤ちゃんのときから何十年と繰り返すうちに、働きがだんだん衰え、古い細胞が体内にたまっていきます。これが、老化の原因の1つです。たまった老化細胞は、組織を傷つけたり臓器の働きを邪魔して、シワやたるみなどの原因になり、さらには病気を招いてしまいます。
しかし、最近の科学では、老化細胞を取り除くことで、老化を予防し健康寿命を延ばせることがわかっています。老化細胞を取り除くための老化細胞除去薬が世界中で研究・開発されつつあり、将来的には薬で老化を防げるようになるでしょう。紫外線や喫煙、暴飲暴食、運動不足などを避けることも、老化細胞を増やさないことに役立ちます。
加齢による老化のほかに、「早期老化症」という難病があります。20代から老化現象を起こし、ついには病気にかかって40代で死亡することもあります。傷ついたDNAを修復する遺伝子の異常が原因とみられますが、詳しいことはまだわからず、究明が急がれています。
ちなみに、クラゲやカメ、ハダカデバネズミなどは、年をとっても体力が衰えたり病気になりやすくなったりせず、老化しません。科学によって、ヒトもあまり老化せずに生涯を終える未来が来ることでしょう。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』著:高橋祥子
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』
著:高橋祥子
『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』は、生命科学の基本概念を分かりやすく解説した書籍です。生命科学は、生物の構造や機能、進化などを研究する学問ですが、専門的な知識が必要で、難しく感じることも多い分野です。しかし、この本では、豊富な図解やイラストを使い、専門用語や複雑な内容をわかりやすく噛み砕いて説明しています。
特に、DNA、遺伝子、進化、免疫など、私たちの体や生命現象に関わる重要なトピックを、科学的な視点から解説しつつ、日常生活に関連づけて説明しています。初心者でも理解できるように配慮されており、難解なテーマでも「なるほど」と納得できる構成になっています。この本は、生命科学に興味があるけれども専門的な知識がない方、または生物学を学んでいる学生など、幅広い読者におすすめです。
公開日:2024.10.17