直接操作できるのはグリップまで
なお、改めて説明するまでもありませんが、1口にスライスといっても球の出ていく方向は3つあります。
①真っ直ぐ飛び出して、右に曲がるスライス
②左に飛び出して、右に曲がるスライス
③右に飛び出して、右に曲がるスライス
クラブヘッド軌道がインサイドインのときが①。②はアウトサイドインの軌道のとき、③はインサイドアウトの軌道のときの球の飛び出す方向です。
つまり、一般にはドローを打つには「インサイドアウトの軌道で振れ」と言いますが、いくらインサイドアウトの軌道で振ったところで、その軌道に対してクラブフェースが右を向いていれば、球は右に曲がっていくのです。
これは当たり前の物理的現象です。
ただ、そうは言っても、意図通りの曲がる球が出ない人も中にはいます。
「インサイドから打っているし、フェースも返している。なのにどうしてスライスするんだよ」
そういう人がいます。その人は、自分では「やっているつもり」でも、実際にはそうなっていないのです。つまり、インサイドから球にクラブを衝突させるという現象を起こせていない。その場合は、グリップエンドを意識してみましょう。
私たちは、クラブヘッドを直接的には動かせません。自分が握っているのはクラブのグリップですから、直接操作できるのはグリップまでです。だとすれば、インパクトエリアでグリップエンドをインサイドアウトに動かしてやれば、必ずクラブヘッドもインサイドアウトに動きます。
フェースの向きにしても同じです。インパクトエリアで、グリップエンドを反時計回りに回転させてやれば、フェースは左を向きます。逆なら右を向きます。
長いシャフトの先にあるクラブヘッドを一生懸命に返そうとするより、手元をちょっと操作するほうがずっと簡単です。ドローを打つとき、球を中心に体を右に向けたら、そこでグリップを握り直せ、と申し上げたのは、そのことも含めてなのです。
出典:『誰でもできるナイスショットの絶対法則』著/佐久間馨
【書誌情報】
『誰でもできるナイスショットの絶対法則』
著者:佐久間馨
ゴルフのパットがうまくなるために、1アドレス(構え方)、2ストローク(打ち方)と距離感、3グリーンの読み方を写真を交えてその方法をわかりやすく解説。ラウンド当日の練習方法も、5分間~20分間の練習時間別に紹介。パッティングは、グリーンの傾斜を読む力、その感性を育むために必要な基礎技術をこの本で体得していただきたいと願いながら書きました。技術と感性が向上し、スコアアップに、そしてゴルフのおもしろさアップにつながりましたら幸いです。
公開日:2022.01.06