からだがかゆく感じるのは乾燥肌になったから・・・?
成人皮膚の面性は、畳1畳分、重さは3kg、厚みは1~4mmです。皮膚の面積が畳1畳分というのは理にかなっているのですね。寝返る分も担保してあるということですから。皮膚は、生体でもっとも大きい臓器で、体を守る最前線です。ウイルスなどの感染を防ぐことや、知覚器として温度を感じたりします。慣らしてゆけば順応するので、熱い鍋を持っても耐えられ、暑い夏も我慢できるようになりますが、ただし、無理は禁物!
ところで、乾燥肌とは、肌の水分や皮脂が不足していて潤いが失われ、皮膚のバリア機能が低下する状態のこと。かゆみや粉を吹くのですね(下図)。老化した肌は、シワ、たるみやシミ以外に、薄くなるために弊害も生じます。スキンテアという聞きなれない症状が定義されているのですが、皮膚裂傷の状態にあることを意味すものですね。摩擦・ずれが原因で、乾燥肌でシワが多く薄い皮膚(ティッシュペーパー様皮膚)や紫斑(皮下出血)、浮腫(むくみ)のある人が罹りやすくなります。
別途、かゆみを生じる症状に“乾癬”があります。これは炎症性角化症で、皮膚の真皮の「炎症」と表皮が厚くなり角層も厚くなる「角化症」が同時に起こる皮膚症状ですが、感染しません。完治はむずかしい病気ですが、治療法の発展で無症状にするのも可能となっているようです。
“褥瘡”は、寝たきりで自分の体重で圧迫され、血流が悪くなって皮膚がただれたり、傷ができたりするものです。いわゆる「床ずれ」。長期間の寝たきりで、栄養状態が悪く、皮膚が弱っている場合に現れやすい症状ですね。いったん、褥瘡ができると改善が難しいので、体位変換が重要となります。褥瘡の改善には、マットレス・クッションの選択、体位変換、スキンケア、患者の教育、運動療法・物理療法を選択しなければなりません。
いずれにしろ、皮膚の乾燥対策がもっとも重要です。保湿剤を効果的に使う必要がありますが、といっても“かゆみ”は皮膚常在菌が原因の場合やアレルギー、冬場の乾燥時期に悪化しがちで、ついつい引っ搔いてしまって悪化することも多く、また、精神的な因子にも左右されるからです。
ともあれ、かゆみは皮膚の老化も原因となりがちなので、ケアが大事であり、保湿剤などを用いて積極的に対応する必要があります。皮膚科医の診察・治療を受けることも大切なケアの一環です。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 野村義宏
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』
長岡 功 総監修/ 野村 義宏 監修
高齢化や平均寿命が伸びた社会では、「老化」は誰もが避けられない、しかし誰もが可能な限り抗いたいテーマ。その多くは人体の「老化現象」、またそれに伴う「諸症状」として、完全には克服できないまでも、原因やしくみを知ってうまく対応すれば、症状を「やわらげる」ことや、日常生活での「影響を少なくする」こと、また「目立たなくする」ことが可能である。本書では具体的に、老化にともなう病気・諸症状の原因に言及し、その対処・対策法を解説、紹介する。中高年以降の健康と美容の悩みを楽しく読めて、一気に解決する一冊です。
公開日:2023.03.27