鉄道以外のビジネスにも積極的なJR
現在のJRは鉄道以外のいろいろな事業に参入していますが、これは1987年(昭和62)年の国鉄分割民営化に伴ってあらわれた大きな変化です。それまで国鉄は、日本国有鉄道法によって鉄道事業以外への進出は大きな制限がありましたが、その制限がなくなったため、そのほかの事業ができるようになったのです。たとえば、駅構内のコンビニエンスストア、喫茶店、フィットネスクラブ、新幹線内の車内販売や食堂車の営業などを展開。今までの外部の企業に頼っていた業務を自社で行うようになったことで、コスト削減にもつながっています。
また近年では、マンションやアパートなどの物件を販売したり、自社で商業施設を開設し、そのテナント料で収益を得たりといった、不動産事業を展開している鉄道会社も多いです。コロナ禍の影響で鉄道利用からの収入が減少傾向にあるなか、こういった不動産事業をはじめとする副業を積極的に行うことで、経営を維持している部分もあるのです。実際、南海電鉄ではコロナ禍の真っ最中だった2020年に、不動産事業が好調で黒字を記録したことが大きな話題になりました。減収などのさまざまな事情により多角経営せざる得ない側面を持つ鉄道会社。これからも新たなビジネスを展開するかもしれません。
鉄道会社が取り組むさまざまなビジネス
コンビニエンスストア
JR東日本はオリジナルのコンビニエンスストア「NewDays」を展開。現在約500店舗を出店しています。
カレー屋
京王電鉄グループでは、カレーチェーン「カレーショップC&C」を展開。都内を中心に18店舗を出店しています。
駐車場
JR東日本では高架下の空きスペースを駐車場として整備し、時間貸しする事業を行っています。
ホテル
JR各社では駅ビル直結のホテルや自然に囲まれたホテルなどを運営しています。
フィットネスクラブ
JR東日本では、首都圏の駅ナカ・駅チカを中心に、フィットネスクラブ「ジャクサー」を運営しています。
きのこの栽培
JR九州では廃線となったトンネルを使ったきのこ栽培が行われていました。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』綿貫 渉
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』
綿貫 渉 著
通勤・通学、旅行・おでかけ…私たちは普段何気なく電車や駅を利用していますが、なぜ安全に時間通りに運行できるのか、遅延や事故・トラブルの際はどう対処しているのか、意外と知らないことも多い鉄道の話。本書では、今さら聞けない基本的なしくみから、知るほど面白い鉄道の歴史まで、図解やイラスト付きでわかりやすく解説します。
公開日:2023.07.23