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三毛猫にオスがいない理由【眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話】

Text:安藤寿康

三毛猫にオスがいない理由

ランダムなようで法則性がある

日本ではポピュラーな三毛猫。一般的に白色・茶色・黒色の3色の毛色をした日本猫をこう呼びますが、じつは海外ではあまり見かけない毛色です。さらにそのオスとなると日本でも数は少なく、探してもまず見つからないほどのレアな存在なのです。それだけに昔は縁起がいいと珍重され「三毛猫のオスを船に乗せると遭難しない」なんて言い伝えもあるほどでした。

そんな三毛猫にオスが少ないのは性別を決める性染色体と遺伝子の組み合わせにヒミツがあります。最初に書いたとおり、三毛猫は白色・茶色・黒色の3色の毛色を持っていますが、このうち茶色を発現させる「O遺伝子」と、黒色を発現させる「B遺伝子」はどちらもX染色体上にしか存在しません。そのため、この2色を併せ持つ個体は性染色体がXXのメスだけ、というわけです。さらに三毛猫になるためには白色を発現させる「W遺伝子」、毛色をまだら模様にする「S遺伝子」も必要。このうちのどれかひとつが足りないだけでも生まれてくる猫は三毛猫にはならないのです。それでもごく稀にオスの三毛猫が生まれてくるのは、「クラインフェルター症候群」という染色体異常が原因。性染色体が1本多いXXYとなる病気で、その発現率はおよそ3万分の1(人間は約500分の1)といわれています。

X染色体の遺伝法則が毛色のヒミツ

三毛猫のオスもごく稀に存在する

三毛猫にオスが生まれる原因は、染色体の数が通常より多くなる「クラインフェルター症候群」によるもの。猫の場合は約3万分の1の確率で、人間では500分の1程度とされ、無精子症や学習障害などの症状が見られます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修:安藤寿康

≪累計300万部突破!『眠れなくなるほど面白い図解シリーズ』≫
環境や努力は遺伝に勝てない!?行動遺伝学者が語る“遺伝のタブー”を図解でわかりやすく解説!【遺伝の話】

「生まれ持った才能」「容姿の格差」「親ガチャ」…誰しもなんとなく気が付いて受け入れているものの、表立ってその違いを口にすることはタブーとされがちな遺伝の話。
近年、インターネット上でもさまざま議論がなされ、「遺伝」に関する話題は注目を浴びています。

一般的に遺伝といえば、身長や体重、髪の毛や瞳の色といった身体的特徴が親から子に受け継がれることを指し、遺伝学とはこういった特徴が次世代にどのように引き継がれるかを研究する学問です。その中でも特に、遺伝と環境が人の成長にどう影響しているかを解明していく分野を「行動遺伝学」といいます。
本書では、行動遺伝学の第一人者である著者が遺伝にまつわるさまざまな気になるギモンをわかりやすく解説します。

「親から遺伝するもの、しないものって何?」「そもそも遺伝ってどういうしくみ?」という基本的な知識から、「収入と遺伝は関係がある?」「容姿の差による格差ってどれくらい?」「遺伝で決まっているから環境や努力ではどうにもならない?」「生まれで9割決まっているって本当?」など、漠然と言われているけど誰も正直に答えてくれないような話題まで、徹底解説!

誰しも避けて通れない遺伝の真実を、わかりやすく、そして正しく知ることができる一冊です。

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