主な不安障害の種類 ③
強迫性障害
「手洗い」や「施錠」などを何度も繰り返してしまう……
例えば、手が汚れているので洗うという行為は誰でも当たり前にすることです。特に近年のコロナ禍では、こまめにアルコールで手指消毒する人は多いと思います。しかし、目に見えないウイルスを恐れるあまり、手を洗うこと、身の回りを消毒することをやめられなくなってしまう人がいます。また、他人にその行為を強制する場合もあります。他にも、外出時、家の戸締まりが、常に不安になる人もいます。施錠を何度も確かめてその場を離れたのにもかかわらず、また不安になって、自宅に戻り、結局外出できないということが起こるのです。
これらはいずれも「強迫性障害」の典型的症状です。何度も浮かぶ強迫観念を解消するための行動(強迫行為)を繰り返すことで、日常生活に支障をきたすようになるのです。自分や周囲が、単なる「潔癖症」や「心配性」などと思えるうちはよいのですが、苦痛を感じたり、周囲の指摘があったりした場合は、専門家に相談しましょう。
全般性不安障害
長期間にわたって「漠然とした不安」を抱き続けている
パニック発作や身体反応を起こす、強迫行為がやめられないといった、明らかな症状のある不安障害と比べ、自分も周りも気づきにくいのが「全般性不安障害」です。
この障害を持つ人は、長期間にわたって不安を感じ続けています。その対象は家族のこと、仕事のこと、お金のことなど状況全般にわたり、とりとめがありません。不安の解消が症状を緩和することはなく、常に新たな不安を生んでいきます。肩こり、頭痛、不眠、疲労感といった身体的症状、落ち着きがない、神経過敏、イライラするなどの精神的症状が見られますが、いずれもありふれているので、自分も周囲も「心配性な性格」などと放置してしまいがちです。しかし、この障害を持つ人は「うつ病」に移行しやすいことがわかっているので、心当たりがあれば早めに医師の診断を受けましょう。受診を決める目安は、6カ月以上、不安のある日数がない日を上回り、前述のような症状が続いていること。女性は男性の2倍発症しやすいとされています。
【出典】『心の不調がみるみるよくなる本』ゆうきゆう:監修
【書誌情報】
『心の不調がみるみるよくなる本』
ゆうきゆう:監修
現代増加の一途をたどる「不安障害」。
不安障害とは払拭できないほどの不安や恐怖の感情が過剰に付きまとい、日常生活に支障をきたすような状態になることです。
一概に不安障害といってもさまざまな症状があり、突然理由もなく激しい不安に襲われて発作などを引き起こす「パニック障害」や、謎の強迫観念にとらわれて意味のない行為を繰り返す「強迫性障害」、若者に多く人前にでると異常に緊張して体調を崩す「社交不安障害」などタイプは異なります。
本書ではそのような不安から引き起こされる心の不調について、症状例をそえて専門医がわかりやすく解説。自分の「不安障害度」を簡単にチェックできる診断テストも掲載。病気を自覚し、その症状にあわせた治療を受けられるようサポートする一冊です。
公開日:2024.12.05