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不安とうまく付き合う方法【心の不調がみるみるよくなる本】

Text:ゆうきゆう:監修

不安とうまく付き合う方法

私たちは日常にひそむさまざまな不安とどのように向き合っていったらいいのでしょうか。その具体的な対処方法について見ていきましょう。

日常生活に戻ることが回復の目標

体の病気、例えば人間ドックでどこかの臓器に異常が見つかった場合、投薬治療や手術などを行います。この場合、医師は今後の病状変化に注目して診断するのであって、日常生活に支障があるかどうかはあまり問題ではないはずです。一方、心の面では、日常生活に適応できているようなら、あえて病気と呼ぶ必要はないと判断するのが通例です。

つまり、不安障害からの回復とは、通常の日常生活に戻ることだといえます。

本書のはじめの方で、多くの専門家が、不安を「痛み」に例えて説明することを紹介しました。もう一度、ここでは日常生活における「不安」を「痛み」として考えてみましょう。
例えば料理中、包丁で指を切ってしまったとします。この痛みを繰り返さないために私たちはどう対処するでしょうか。二度と包丁を使わないという選択をすると、日常生活に支障が生じます。であれば、今後は指を傷つけないように注意して包丁を使うというのが妥当なところでしょう。

「注意して包丁を使う」とき、私たちは現在の作業に集中しています。包丁の刃と指が接しなければ「痛みはない=安全」だと知っているからです。不安に対する正しい理解のヒントがここにあります。

現在の作業や行動に集中する

専門家は不安障害の人に、編み物や土いじり、掃除、散歩、料理といった単純な作業や行動をすすめています。ちなみに、パニック障害の患者さんの中には、電車内で不安が起こらないよう、集中してメールを打ち続けるという人も多くいます。

このように、現在のことに集中することで、不安が入り込む余地をなくすのは有効な方法です。もちろん、集中力が途切れたときに、ふと不安な気持ちが起こることもありますが、自分を責めたりするのはやめましょう。また、無理に「不安をなくそう」と考えるのもよくありません。浮かんだ不安はそのままいったん横に置き、もう一度、現在の作業や行動に意識を戻す、「軌道修正」の繰り返しでやり過ごせばよいのです。

なぜ現在に目を向けるのか、それは不安の対極である「安全」が、実は現在にしか保証されないからです。未来にはどうしても予測できない部分がありますから、100%安全とはいえず、不安につながる可能性があります。先ほどの包丁の例でいえば、今後、二度と包丁でケガをすることはないと断言することは誰にもできません。大事なのは、目の前の食材を一つひとつ切ることです。将来の不安があっても、とりあえず安全な現在を感じ続けることは、日常へ戻る一歩となります。

不安は単なる「感情」のひとつと考える

「不安の悪循環」に陥ってしまうと、 心の中で「不安」が大きくなりすぎて、 人生を支配するような恐怖になってしまいます。しかし実際のところ、「不安」は、「喜び」や「悲しみ」、「楽しみ」や「怒り」といった、そのときどきにあらわれる感情と同じようなものなのです。

「不安を感じるのは悪いこと」「不安を感じてしまう自分は未熟だ」といった思い込みを捨てて、当たり前の感情として「不安」を認め、その「不安」の原因と客観的に向き合うことで、徐々に不安は解消されていくはずです。

CHECK!

  • 無理に「不安をなくそう」と考えるのではなく、「現在」に集中することで不安は軽減される

 

【出典】『心の不調がみるみるよくなる本』ゆうきゆう:監修


 
【書誌情報】
『心の不調がみるみるよくなる本』
ゆうきゆう:監修


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現代増加の一途をたどる「不安障害」。
不安障害とは払拭できないほどの不安や恐怖の感情が過剰に付きまとい、日常生活に支障をきたすような状態になることです。
一概に不安障害といってもさまざまな症状があり、突然理由もなく激しい不安に襲われて発作などを引き起こす「パニック障害」や、謎の強迫観念にとらわれて意味のない行為を繰り返す「強迫性障害」、若者に多く人前にでると異常に緊張して体調を崩す「社交不安障害」などタイプは異なります。

本書ではそのような不安から引き起こされる心の不調について、症状例をそえて専門医がわかりやすく解説。自分の「不安障害度」を簡単にチェックできる診断テストも掲載。病気を自覚し、その症状にあわせた治療を受けられるようサポートする一冊です。

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