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量子力学によって人の「意識」の起源が解明されるのか?【眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話】

Text:久富隆佑、やまざき れきしゅう

量子力学によって人の「意識」の起源が解明されるのか?

「意識」はどこから来るのかというのは、人類の大きな疑問の1つです。意識は「脳の働き」だという人もいれば、脳ではなく「魂」のような別のものが意識の元となっているという学者もいます。意識は人間のほか、イヌやネコなどの哺乳類にもありそうです。ハエやカとなるとちょっと微妙です。体長が1㎜ほどのセンチュウの神経細胞は302個しかないそうなので、さすがにわたしたちのような意識はないのかもしれません。

物理学者は意識についてあまり話しませんが、それには理由があります。現代物理学のほとんどは「決定論的」なのです。つまり、最初の状態がわかると、その後にどう振る舞うかはすべて物理法則で決まってしまうのです。たとえば、投げたボールのある瞬間の速さと向きがわかれば、どこへ飛んでいくかが計算できるように、脳内の電子配列や原子の様子を全部書き出せば、その後の脳の動きはすでに物理法則で決まっていると考えることができます。この考えを突き詰めると、人は自由に考えることができないという結論に至ります。つまりそれは、人には意識がないということを意味してしまうのです。

ですが、それでは困ります。実際にわたしたちには意識があるように思えるからです。そこで、一部の物理学者たちは、量子力学の持つランダム性こそが、意識を理解するための鍵なのではないかと考えています。ただし、それはまだまだ議論の段階です。どうやって実験的に検証できるのか、それすら誰にもわかっていません。とはいえ、いつの日にか、わたしたちの意識を物理学で説明できるときが来るかもしれません。

量子力学によって人の「意識」の起源が解明されるのか?

量子力学が意識を扱ってこなかった状況に、量子コンピュータが一石を投じる可能性があるんだね。脳はとても複雑なため、脳をシミュレーションしようにもふつうのコンピュータでは非常にむずかしい。だけど、複雑な計算が得意な量子コンピュータの性能がさらに拡張していくとどうなるだろう。いまはまだ SFのような段階だが、いずれ「脳の働き」や「心」がどうなっているかをシミュレートできるのではないかと考える研究者もいるよ。もしかすると、そんな研究からわたしたち人間の「意識」の起源が、量子力学を通して明らかになる日が来るのかもしれないよ。

量子力学によって人の「意識」の起源が解明されるのか?

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』
著:久富隆佑、やまざき れきしゅう


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