電車をはじめて走らせたのはドイツだった【眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話】

ドイツで生まれてアメリカで発展した

1879年、ドイツのベルリンで工業博覧会が開催されました。このとき行われたデモンストレーションが、小型の電気機関車が客車3両を引いて1周300mの線路の上を走行するというもの。最高速度は時速13km。自転車でゆっくり走るくらいのスピードですが、これが記念すべき世界最初の電気鉄道(電気の力で動く鉄道)とされています。そして2年後の1881年、同じベルリンの地で世界初となる電車の営業運転がはじまりました。

とはいえ、当初は輸送規模の小さい路面電車に限られており、現代のような大規模な輸送はできませんでした。当時の車輪を動かす駆動方式には限界があったのです。

電車の発展に大きく寄与したのが、複数の電車を同時に制御する統括制御の開発です。それまでは車両単位でモーターを制御していたため、各車両に運転士を乗車させなければならないという制約がありました。この問題点を技術革新で乗り越えたのが、当時はまだ新興国と呼ばれていたアメリカでした。

20世紀に入った1903年、自動で加速を行える統括制御装置がニューヨークの地下鉄のために開発されます。これにより列車の長編成化が可能になり、電車は都市交通のなかでも重要な一角を担うようになっていったのです。

電気を使った鉄道はドイツで生まれた

小さな電気機関車がベンチを模した客車を引きながら、博覧会会場に敷設されたレールの上を走行しました。

世界初の電気鉄道はドイツのシーメンス社が製造。

統括制御が電車を一気に進化させた

従来は各車両に乗務した運転士同士が息を合わせて全体を制御していたため、さまざまな困難がありました。それが1人の運転士が複数の車両を統括制御する方法に変わったことで、鉄道の可能性は大いに広がったのです。

マリオネットをあやつる「手板」の役割をするのが統括制御装置です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』著:綿貫 渉

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』
著:綿貫 渉

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さらに「電車が止まってしまったけど運転再開までどのくらいかかるのか……」「SNS動画で駅構内や車内のトラブルを見るけど、もし自分が居合わせたら…」このような日常で起こるかもしれないちょっとしたギモンや不安に関連した役立つ知識も紹介し、読んで面白いだけではない、日常に関わる内容となっています。

今まで知らなかった鉄道の世界を覗くことで、元々鉄道が好きな方はもちろん、そうでなかった方も、鉄道や交通に興味を持つきっかけとなる一冊です!

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