大人と子どもでは“飲み込み方”が違う。大人も知っておくべき「正しい嚥下」【歯並びをよくする離乳食・幼児食】

大人の嚥下力をつける

食べ物をしっかりと噛み、飲み込みやすい形状にまとめたら、いよいよ食事のフィニッシュとなる「飲み込み」です。食べ物を飲み込んで胃へと運ぶ動作を「嚥下」といいますが、嚥下には乳児型と成人型の2種類があるのをご存じですか?

乳児型の下とは、まだ歯のない赤ちゃんが舌を前に突き出して飲み物や食べ物を飲み込む嚥下方法。母乳やミルクを効率良く摂取するために適した飲み込み方です。

その後、生後7カ月ぐらいで前歯が生えてくるようになると、舌は少しずつ自然に口の内側に収まっていきます。そのタイミングで、乳児型の下から固形物を食べる成人型の嚥下へと変化していくのです。

成人型の下とは、乳児型のように舌を突き出さず、後方へ下げた舌を上あごにつけ、そしゃくでできた食塊をのどの奥に送り込む嚥下方法。飲み込むときは、唇は閉じて上下の歯が噛み合った状態です。

お口の成長に合ったかたさや大きさの離乳食を適切に与えることで、乳児型から成人型への嚥下の移行がスムーズに進みます。離乳完了期には成人型嚥下への切り替えができていることがベストです。

ただ昨今は、お子さんだけでなく親御さんにも嚥下に問題があるケースも珍しくありません。子どもは大人の真似をして育ちます。今一度、親御さん自身がきちんと飲み込めているかを確認し、正しい嚥下を親子でマスターしていきましょう。

乳児型嚥下と成人型嚥下の違い

CHECK!乳児型嚥下の特徴

● 舌は乳首を包み込むように伸びている
● 口を大きく開けて乳首をくわえる
● 舌が歯茎より前に突き出されている
● 口輪筋が強く収縮している
● 無意識に行っている
● 呼吸と嚥下を同時に行っている

CHECK!成人型嚥下の特徴

● 舌が上あごに押しつけられている
● 唇が閉じている
● 上下の歯が噛み合っている
● 口輪筋は強く収縮しない
● 歯列の内側に舌が入っている
● 意識して行っている
● 呼吸と嚥下を別々に行う

卒乳は1歳半くらいまでに

離乳食の段階が進んでいるのに、母乳やミルクを飲んでいると、乳児型嚥下が残ってしまい、なかなか成人型嚥下を身につけることができなくなります。1歳半くらいを目安に卒乳するようにしましょう。

【出典】『歯並びをよくする離乳食・幼児食』著:杉原麻美/藤原朋未

【書誌情報】
『歯並びをよくする離乳食・幼児食』
著:杉原麻美/藤原朋未

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