泳げなくても天敵がいない魚!? 武器でもあり弱点でもある特徴を持つ魚とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】

針はウロコが変化してできた

怒ると体中の針を立てて膨らむ「ハリセンボン」。これらの針は、ウロコが変化してできたものです。その名の通り「1000本の針を持つ」かと思いきや、実は400本ほどしかありません

ハリセンボンは危険を感じると、急激に体が膨らむとともに、自在に動かすことができる針を立ててより体を大きく見せます。これにより、敵が驚いて自分を飲み込むのを諦めるようにしているのです。

体中を覆う針のおかげで、ハリセンボンには天敵がいません。その代わり、大きな弱点があります。それは「膨らんでいる間は泳げなくなってしまう」こと。敵に遭遇したハリセンボンは、瞬時に水を飲み込んで体を膨らませます。短時間で数倍の大きさになったハリセンボンを見て、多くの敵は飲み込めないと判断します。しかし、ハリセンボン自身も、胸ビレが埋もれて動かせなくなってしまい、泳ぐことが難しくなるのです。

ハリセンボンの体が膨らむ秘密は「膨張のう」にあります。胃の一部が変化してできた器官で、ここに一気に水を溜め込み、体を膨らませるのです。

フグの仲間ではありますが、体には毒がないので沖縄県などでは食卓にも並びます。

体の針は400本しかない

体中にある針から「ハリセンボン」と名づけられたが、実際には350〜400本ほどしかない。

丸いウロコが消失し、針だけが残ったとされる。

丸いウロコの後端にできるトゲのようなものが針の原型とされる。2019年の東京大学などの研究では、トゲはウロコと同じ遺伝子からつくられたと発表された。

「膨張のう」を使って一瞬で膨らむ

胃の一部が変化してできた「膨張のう」に一気に水を溜めて、膨らむ。

1秒で約2倍の大きさに膨らむことができるが、泳ぐ力もなくなるので、危機が去るとすぐ元に戻る。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん

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食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。

魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。

「最古の魚は5億年前! 魚類の誕生と進化」「魚は何を食べる?」
「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
「シーラカンスが絶滅しなかったのは、味が激マズだったから!?」
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