マンボウは「最弱の魚」という都市伝説は普通にデマ【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】

実はイメージよりもたくましい?

世界最大の硬骨魚といわれているマンボウ。その大きさは3mほどもありますが、稚魚のときはわずか7mmほどしかありません。体が薄く、腹ビレと尾ビレがない代わりに舵ビレと呼ばれるヒレを持ち、独特な風貌をした魚です。それゆえに、根拠のないさまざまな都市伝説で知られている魚でもあります。

中でも有名なのがマンボウは「最弱の魚」だという噂。「深くもぐると寒すぎて死ぬ」などといわれたりもしますが、これはまったくのデマです。なぜなら水深数百メートルの深海までもぐってエサを食べる習性を持つので、そんなことで死んでしまったら、マンボウはとうの昔に絶滅しているでしょう。

「太陽の光が目に入ると死ぬ」という噂もありますが、マンボウは日向ぼっこが大好きなのでこれもデマ。「マンボウの昼寝」とも呼ばれる、海面に横たわって漂う姿は、深海にもぐって冷えてしまった体を温めて体力を回復させるための行為と考えられています。

また、クラゲなどの生き物を捕食するときの吸引力は非常に強く、その点からも決して最弱な魚とはいい難いでしょう。

しかし、繊細な一面があるのは事実で、同じ水槽で知らないマンボウを一緒に飼うとストレスを感じて食欲をなくしてしまうようです。

ウソか本当か、知られざるマンボウの実態

飛び跳ねるだけで死ぬ!?

<これはウソ!>

体についた寄生虫を落とすために飛び跳ねるが、それで死ぬことはない。

実はフグの仲間!?

<これは本当!>

フグと同じくおなかには骨がなく、空洞。ただしフグと同じようにおなかを膨らませることはできない。

壁にぶつかって死ぬ!?

<これは半分本当!>

マンボウは皮膚の下に分厚いゼラチン層があるため体が硬く、急な方向転換が苦手。うまく曲がれず壁や岩にぶつかることもありますが、それで死ぬことはめったにない。

消化不良で死ぬ!?

<これは半分本当!>

消化不良を起こしやすい野生のマンボウは、消化しやすいクラゲなどを主に食べる。水族館などでは、エビや魚などをミンチにしたものをゼラチンで固めてクラゲっぽくして与えている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん

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食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。

魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。

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「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
「シーラカンスが絶滅しなかったのは、味が激マズだったから!?」
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