インパクトは「ゾーン」ではなく「点」とイメージしよう
では、なぜダウンスイングでクラブをフラットに下ろせないのかを考えてみましょう。ひとつの仮説ですが、インパクトゾーンを長く作りたいという気持ちがそうさせるのではないでしょうか。自分自身も長いインパクトゾーンが正解だという時期があって、やや外めから下ろし、リリースも若干早くしてボールを打っていました。
もともとは背中のほうからフラットに下ろすタイプで、スライスに悩んだことは一度もないのですが、長いインパクト=弾道の安定、だと思ったんですね。そのためリリースを早めて、まっすぐなレールの上にクラブヘッドを乗せようとしたわけです。しかし知識と経験が増えていくと、それが自分に合っていないことがわかったので、もともとのスイングに戻ったのですが、いまではインパクトを「ゾーン」と考えることもなく「点」だととらえています。
インパクトゾーンにおけるクラブの動きは、ターゲットラインに対して円軌道です。このときフェースの向きがターゲットに対してどうなっているかというと、インパクト前は大きく開き、インパクト後は大きく閉じています。「フェース面を変えずに打ち抜く」というイメージとはかけ離れていますが、並外れたパワーのない人間が、効率よく強いインパクトを作るには「ゾーン」ではなく「点」ととらえたほうがいいというのがいまのところの私の結論です。
長いインパクトゾーンを作るには、それに伴ってグリップエンドの移動距離も長くとることになりますが、このメカニズムでヘッドを加速するには、ボディのスピードを上げる必要があり、普通の身体能力では厳しいでしょう。
結局、自分も含めた一般人が選択できるのは、グリップエンド側にブレーキをかけてヘッドを走らせるという方法です。となるとインパクトのイメージは「点」ということになります。そう考えれば、コッキングを維持したままインサイドから下ろしてくる恐怖感が、軽減されるのではないかと思います。
【書誌情報】
『70台は楽に出る!「圧力系」インパクトの作り方』
著者:阿河徹
ボールがクラブフェースにきちんと当たる確率を高め、飛距離が十分出る― そんなスイングを実現するため著者ススメているのが「圧力系インパクト」。小さなバックスイングで強いインパクトを実現する。本書では、このインパクトの作り方を写真を数多く用いて解説。70台のスコアも可能にする、ゴルファー待望の一冊だ。
公開日:2021.04.10