弓道 競技別解説
弓具と体幹をシンクロさせて狙い続ける
弓道では、弓と矢を自分の身体と同調させて扱うことが重要です。スタビライザーや照準器を搭載して道具に精度を求めるアーチェリーに対し、弓道は自身の身体(骨格)に精度を求めるものだからです。入場から退場まで、一連の動作の中で常に弓具を自分の軸幅に収め、体幹主導で歩行や動作を行います。このとき、身体を固めることなく動作をつなげていくことも大切です。行射と行射の間も途切れさせることなく、残心(身)で次の一射につなげていきます。
行射の際は、頭蓋平面を作ることで狙いを定め、体幹を使って弓を上げていきます。頭蓋平面を作ると、腕はその高さ
まで上がるようにできていますから、弓をコントロールしやすくなります。その後、鎖骨を中心に体幹をトランスフォームさせる(狙う)ことで的への意識(照準)を高めたら引き分けます。行射は微妙な動きの変化に左右されるため、それをいかに精度よく行うかが、弓道の難しさであり、武道らしさでもあると言えるでしょう。
競技の起源
弓道は日本最古の武道だと言われている。弓術は、奈良・平安時代には朝廷行事で儀式として披露され、鎌倉時代になると攻撃用の武術として使われた。鉄砲の伝来により一時衰退したが、江戸時代には武士の精神鍛錬方法として根付き、明治に入ると弓道へと昇華した。
合掌のイメージ
行射の際は、体幹を使って合掌するイメージで身体に圧をかけます。圧力をかけることで垂直に踏むことができ、身体がブレなくなるため、弓をコントロールしやすくなります。そして、鎖骨を中心に体幹をトランスフォームし、的を狙い、弓矢を引きます。
弓を押す意識
動作のイメージを変えることで押手の出力が変わり、弓が引きやすくなります。通常は明文化されることのないこうした感覚を「コツ」と言います。
【クロス】
クロスタイプは、弓の外側を押すイメージ、弓の外側がたわむイメージを持つ。
【パラレル】
パラレルタイプは、弓の内側を押すイメージ、弓の内側がたわむイメージを持つ。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.07.19