武道とスポーツの違い
●精神性が重視される武道
武道では、技術だけでなく所作や作法も重視されます。そのため、「自分を見つめること」をはじめとした心身の強さ、精神性も強くフォーカスされ、より個々の能力を伸ばそうとするところに、スポーツとの違いがあります。選手の能力をパフォーマンスで決定するスポーツに対して、武道は礼法や所作に則ることを重視します。それにより、自分の中で失われたり気づかなくなっていたりする部分に気づかせ、それを克服することで技が上達していきます。
近年、特に教育現場での、武道のスポーツ化が問題視されています。礼法や所作を重んじる武道の本質を考えると、確かに「競技性やパフォーマンスを慮るばかりに、精神性を失っている」と言えるでしょう。勝ち負けも大切です。しかし、日本で行う限りは、小学校、中学校の部活動においても、やはり武道の精神をしっかりと組み込んでおくべきだと思います。生徒を導くのは指導者ですから、まずは指導者が意識を変えることが大切です。
良い選手を育てること、大会で成績を残すことは確かに素晴らしいことですが、県内一、全国一という代表の座を奪い合うことだけが武道の目的になってしまうと本質から外れてしまいます。小中学校での部活動と考えると、教育の一環として、授業のときの「起立、礼」で挨拶をするプロセスを、そのまま武道の競技性に向けられるような指導者を目指すべきではないかと思います。
道場の雑巾がけから稽古は始まっている
剣道や空手、弓道などでは、稽古の前後に道場の掃除をしますが、雑巾がけは体幹を鍛えるのに最適なトレーニングでもあります。単に雑巾を滑らせるのではなく、しっかりと圧力をかけて、心を込めて雑巾がけするように指導しましょう。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.08.12