しっかり噛んでも飲み込めない? 原因は“食べ物をまとめる力”の不足かも【歯並びをよくする離乳食・幼児食】


食べ物をまとめる力をつける
口まわりの筋肉や舌を正しく使い、しっかりと噛んだら、ゴックンと飲み込む……ではありません。食べ物をしっかり噛み砕いた後は、唾液と混ぜて飲み込むのに適した塊にする過程が必要です。
食べ物をまとめる力を専門用語で「食塊形成力」といいます。食べ物を小さく噛み砕いただけでは口のなかでバラバラになってしまい、うまく飲み込めずに口のなかに残ってしまいます。そこで、唾液の力を借りるのです。
唾液には、ムチンという粘り気のある高分子糖たんぱく質が含まれています。唾液が食べ物を湿らせてやわらかくするとともに、ムチンによって噛んだ食べ物がまとまりやすくなるため、スムーズに飲み込めるようになるのです。ちなみに、舌の上には「味蕾(みらい)」という味を感じる器官があります。甘み・うま味・塩味など食べ物の味は、唾液によって味蕾へ運ばれ、そこで感じ取られます。唾液が十分に分泌されているからこそ、食べ物の本来の味、本当のおいしさがわかるのです。
きちんと食べ物をまとめるには、舌と口まわりの筋肉がしっかり連動し、しっかり噛んで、十分に唾液を出すことが必要。どれかひとつが欠けたり、働きが不十分だったりしても成り立たない動きであり、きちんと飲み込めなくなってしまいます。
「あっぷっぷ」「あいうべ体操」「風船を膨らませる」などの口腔トレーニングは、こうした一連の動きにも効果的ですので、ぜひ取り入れてみてください。
唾液でまとめて、飲み込む仕組み
STEP 1:目で見る

目で見て、食べ物と判断します。
STEP 2:そしゃくしてまとめる

食べ物を噛み、唾液と混ぜて食塊(飲み込みやすい塊)にします。
STEP 3:咽頭に送る

舌の中央に置かれた食べ物は、徐々に咽頭に送られます。
STEP 4:食道の入口へ運ぶ

食道と気管(空気の通る管)は隣同士なため、食べ物を飲み込むときは気管は蓋をされ食べ物は食道に運ばれます。
STEP 5:飲み込む

食べた物は食道に入り、胃へと運ばれます。

【出典】『歯並びをよくする離乳食・幼児食』著:杉原麻美/藤原朋未
【書誌情報】
『歯並びをよくする離乳食・幼児食』
著:杉原麻美/藤原朋未
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