電車の座席はなぜ違う?ロングシートとクロスシートのメリット・デメリットを解説【眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話】

電車のシートの形がいろいろある理由

シートの形によって長所と短所がある

鉄道車両に必ず備わっている座席。その形は車種によってさまざまですが、主にロングシートとクロスシートの2つに分けられます。それぞれにはメリットとデメリットがあります。

ロングシートは座席の配置が鉄道の走る向きと平行になっており、窓側を背にして座るタイプのもの。車両の側面に沿った配置なので、座席のないスペースを広く確保することができ、立ったまま乗車する人を多く収容することができます。そのため、通勤でよく使われている車両にこのロングシートを採用しています。しかし、座れる乗客の数は減り、また車窓から外の景色を眺めづらいのが難点でしょう。

クロスシートは座席が鉄道の走る向きと垂直に配置されたタイプのものです。従来は向かい合わせのボックスシートが多数派でしたが、近年では西日本を中心に座席の向きを変えられ転換クロスシートが主流となっています。車窓からの景色を楽しみやすいのがメリットですが、座席が乗客で埋まっている場合、窓側に座っている人が出入りしづらいのがデメリットでしょう。また、着席した人が通路側に荷物を置いて座席を占有し、結果として着席人数が減ることもあります。昨今では、両方のメリット・デメリットを考慮し、ロングとクロスを組み合わせた座席もつくられています。

通勤電車に使われるロングシート


【メリット】

  • 座席以外のスペースが広く、立ったまま乗車する人を多く収容できる
  • 乗り降りがしやすいため短時間の乗車が便利
  • 製造コストが低いデメリット・座れる乗客の数が少なくなる

【デメリット】
座れる乗客の数が少なくなる

多くの人が席に座れるクロスシート

首都圏の大手私鉄で導入が進むデュアルシート

ロングシートとクロスシートの両方を設定できるのがデュアルシートの特徴。ロングシートは一般車両として、クロスシートは有料車両として運行されています。


【メリット】

  • 多くの人が席に座ることができる
  • 車窓の景色を楽しむことができる
  • 長距離移動をするときに便利
  • 大人数での移動に向いている

【デメリット】

  • 立ったまま乗車するとスペースが限られる
  • 乗り降りがしにくい

※荷物を広げなければ通常の移動でもクロスシートを利用できます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話 』著:綿貫 渉

【書誌情報】
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