親しくなりたいなら「出会う回数を増やす」のが一番な理由【眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス】


親しくなりたいなら出会う回数を増やすのが一番
【単純接触効果】
自分を売り込むもっとも単純な方法
いつも見ているニュース番組のメインキャスターが若手のアナウンサーと交替に―。番組改編のタイミングなどでよくあることですが、視聴者側からすると「見慣れた前の人のほうがよかったな」と感じてしまいがちです。しかし、毎日観ているうちに新しいキャスターへの違和感がなくなり、多くの場合、好感度も徐々に上がっていきます。こうした心理の変化は「単純接触効果」によるものなのです。
単純接触効果においてもっとも重要なポイントは、最初に接した時点で対象に特別な感情を持っておらず、かつその状態での接触を繰り返すことで、徐々に好感度や親近感が高まっていくことです。この効果は対象の年齢や性別に関係なく、絵や音楽といった芸術、身近なモノや道具、味わいや匂いといった目に見えないものにも同様に起こるといわれています。会社からの支給品でも使い慣れたパソコンに愛着を感じたり、毎朝あいさつしてくる隣人に親しみを覚えたりするのは、まさに単純接触効果の賜物と
いってもいいでしょう。
一方で、最初の接触時に悪い印象を持たれてしまった場合、接触する回数や頻度を増やすことはかえって逆効果です。あなたが嫌いな人と会いたくないように、相手も嫌な人に何度も遭遇するのは不快でしかないのです。
接触する頻度と好感度は比例する?
初対面で特別な印象がなくても、その後に接触する機会が増えることで徐々に好感度が上がっていく

『単純接触効果』といい、
特別な反応をもたらさない刺激の繰り返しを好意的に感じる現象である

最初の印象が悪いと逆効果になることも

参考文献
- Robert Zajonc, “Attitudinal Effects of Mere Exposure,” Journal of Personality and Social Psychology: 9, 1-27, 1968.
- Richard Moreland and Scott Beach, “Exposure Effects in the Classroom: The Development of Affinity among Students,” Journal of ExperimentalSocial PsychoLogy: 28, 255-276, 1992.
- Daniel Perlman and Stuart Oskamp,”The Effects of Picture Content and Exposure Frequency on Evaluations of Negroes and Whites,” Journal ofExperimental Social Psychology: 7,503-514, 1971.
- 二宮克美/ 子安増生( 編)『キーワードコレクション: 社会心理学』新曜社、2011 年。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』監修:高橋 昌一郎
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』
監修:高橋 昌一郎
「認知バイアス」は物事の判断が、偏見や先入観、歪んだ情報・データ、個人的経験則・記憶、思い込みなどによって、非合理的になる心理現象。社会学(社会心理学)や経済学(経済行動学)、論理学、認知科学など幅広いジャンルで研究されている。
本書では、数ある「認知バイアス」から、「確証バイアス」「正常性バイアス」「同調性バイアス」「希少性バイアス」をはじめ「ハロー効果」「ダニング=クルーガー効果」「プロスペクト理論」「スリーパー効果」など、読者の関心や興味が強いと考えられるもの、身近で陥りやすい危険の高いもの、知っていると生活にも役立つものを中心に厳選して、図解でわかりやすく伝える。
フェイクニュースや詐欺的行為や犯罪が蔓延し、AI技術の向上などによって、「何が正しいか」わかりにくくなった現代の世の中で、賢く生きていくためには必須の知識!